2008年07月03日

【閑話休題】「二酸化炭素、温暖化詐欺」説に思う。

 来る、洞爺湖サミットのテーマは、地球環境問題であり、その中でも特に、二酸化炭素(CO2)の削減目標についての議論が中心になるとされている。
 しかし、この「CO2、温暖化原因説」については、特に左派から異論が噴出している。その内容は様々だが。
 私は科学者ではないし、ましてやCO2について研究したこともないので、テレビだけを見ていると、地球は温暖化していて、その元凶はCO2なのだな、っと思わされてしまうのは事実だろう。

 最初に結論だけ言っておくと、ここ数十年の単位では、地球は確実に温暖化しているのは事実だと思う。っということと、CO2がその原因かどうかは、わたしにはわからないということ。
 そして、政治的理由から、「温暖化詐欺」を叫ぶ勢力には疑問を持っていること。である。

 科学者ではない私が、温暖化は確実という証拠は、いくつかあるが、まず、まだ、「温暖化問題」がかまびすしくなる前、20年ほどまえに、私がカナディアンロッキーを貧乏旅行した時に見た氷河である。「カラスの爪」という名前のその氷河は、私が訪問した当時には、カラスの爪の形はしておらず、崖から氷河が落ちそうになっている部分が白く見えるだけであった。しかし、そこに、100年前に撮影されたその氷河の写真が掲示されていたが、それは確かに、1本の氷河が、崖から落ちる際に、3本の氷の滝に分裂し、カラスの爪に見えるというものであった。解けてしまったのである。
 つまり、少なくとも、カナディアンロッキーでは、100年前から最近にかけて、温暖化が進んでいるということである。
 次いで、これは美術の方からであるが、確か作者はレンブラントだったと思うが、パリの情景を描いた群衆絵画で、凍結したセーヌ川で、子供たちが遊んでいる姿が、バックに描かれている。
 ご存じのように、現代はセーヌ川は冬にも凍結しない。
 ということは、200年ほど前から現代にかけて、パリは温暖化していることが想像される。

 次いで、私自身の感触である。私が幼児であった40年近く前、当時小学生だった兄と、兄の通う小学校に行った時、バケツに入った水が、厚さ2センチほどもの氷になっていたのを覚えている。時期は12月だったと思う。現在、12月に首都圏で、そのような氷は見ることはできない。もっとも寒い2月ですら、氷が張る日があるかどうかである。
 さらに、子供のころは、横浜東京でも、2、30センチの積雪が毎年あり、かまくらを作って遊べる日が、1冬に2、3回はあったが、最近は、べしょべしょの雪で、交通が乱れることはあっても、かまくらが作れるほどの積雪は無い。

 また、登山とスキーを趣味とする私にとって、夏の登山好適期として、「梅雨明け十日」がもっともよいとされていたが、ここ20年、そのセオリーが崩れている。梅雨が長引くことが多いせいだ。
 一方で、スキーに必要な雪は、昨年を除いて、積もるのが遅くなり、人工降雪機を使って、スキー場の営業期間は変わらないが、自然の積雪は毎年のように遅くなっている。また雪解けも早くなっている。一昨年、私の会社の社内スキー大会は、雪不足で中止になったほどである。原因は、以前は冬の終わりで積雪が最も多かったはずの3月初旬に、雨が降るようになり、雪解けが進むようになったためである。

 このような身の回りの記憶だけを集めても、最近は確かに温暖化が進んでいると思う。
 温暖化問題の前に騒がれた、異常気象の原因とされる、「エルニーニョ現象」も、海水温の高温化が原因の一つとされ、その影響で、西太平洋の珊瑚が壊滅的な被害を受けているこを、多くの人は知るまい。

 かように、温暖化自体は、まず間違いないものと、私は感じている。
 ただ、その原因が、CO2によるものかについては、科学者の研究結果を信じるしかない。

 今、「温暖化詐欺」と叫び、世界レベルでのCO2削減の流れに反対している勢力は、大きく2つに分けられる。
 1つは、反原発の立場から、原発はCO2を出さないから、温暖化防止に効果的であるという主張に反発し、「CO2温暖化説は、原発増設のための陰謀」という、陰謀論を取る人々である。
 これは私はおかしいと思っている。先に原発反対があり、推進の根拠となるCO2温暖化説を「詐欺」呼ばわりするのは、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」型の論理にすぎず、科学的根拠に欠ける。原発に反対するのは自由だが、温暖化は上記のように事実と思われ、科学的根拠で、「CO2は温暖化の原因ではない」ということを言えなければ、その論拠は乏しい。
 さらに彼らは、排出量取引という、CO2の排出枠の証券化取引自体が、サブプライムローンと同様の、金融システムが求める次の証券であると批判する。
 しかし、この種の陰謀論を信じる人たちは、大体が、猛烈な反米主義者だが、CO2削減に消極的なのはアメリカであることを忘れてはいないか?

 ついで、科学的に、CO2温暖化説に疑問を投げかけている人である。ただ、彼らも温暖化自体は否定していないが、CO2モデル以外の温暖化モデルは描けていない。説としては、地球の気温の周期的変動によるもので、その周期は数百年から数千年、また氷河期と氷河期の間の間氷期には、地球の気温が上がるという説があり、私は一応、これにくみする立場である。
 他には、太陽表面の活動の活発化などを挙げている人々もいる。

 私としては、CO2による温暖化モデルには、まだ信憑性はない物の、温暖化防止に何らかの手立てがあるならば、それは人類全体の問題として捉え、解決することには賛成である。
 そのためには、本当の意味で、正しい温暖化理論を確立してくれる科学者たちの姿勢が不可欠である。
 また、私は、いささか虚無的かもしれないが、もし、地球全体の気候の流れの中で、周期的に起きている温暖化だとしたら、それにあらがうのは意味がないとも思う。人類はそれに適応していくしかないのである。
 温暖化が進むと、日本は、亜熱帯性多雨気候になるそうである。一方、現在世界の穀物を支配しているアメリカ大陸は砂漠化が進み、穀物が取れなくなる。
 では、人類が飢餓に瀕するかというと、温暖化で、気候が良くなるユーラシア大陸中北部は、新たな穀倉地帯となる可能性がある。ただ、これを近代国家の目で見ると、アメリカが没落し、中央アジアやロシアが穀物の支配権を握ることになるというわけだ。

 全人類が協調するならば、この問題は乗り越えられると思う。その意味での国際的枠組みは必要であろう。

 縄文時代には何回も、「海進」、「海退」と言って、温暖化や寒冷化によって、海水面が上昇したり後退したりした。日本列島は海に沈んだり逆に大陸につながったりした。それでも人類は生き延びてきた。江戸時代の飢饉も、周期的な寒冷期(上述のセーヌ川凍結の時期に重なる)に当たったとされるが、日本人は生き延びた。

 人類の英知と適応力で、温暖化を乗り切るべきだと思う。
 原発憎しで、論理を逆転させて「温暖化詐欺」を叫ぶ人々は、自然を肌で感じてこなかった人々だと思う。原発反対は構わないが、温暖化への対策についての議論に反対するのは間違っていると思う。

posted by 眠り猫 at 10:18| 東京 晴れ| Comment(13) | TrackBack(3) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
地球温暖化については、私も肌で感じることが多く、着実に進んでいると思います。ただ、その原因が二酸化炭素(とくに人間由来の二酸化炭素)であるのかどうか。今後、科学的にもっと多様な視点からつきつめて考えていく必要があると思います。この点についてマスコミの報道は非常に偏っており、それが陰謀論を生み出していると思います。私自身、二酸化炭素による温暖化説は、温暖化ビジネスで金儲けを企む世界的な陰謀だという説に傾きそうになりました。しかし、昨今のブログ界に見られる陰謀論の多さを見るにつけ、これは気をつけなければならないと戒めているところです。限られた情報しか持たない者にとって、陰謀論はまさに陥りやすい落とし穴のような存在で、しかも一度信じ込んでしまうとこれほど考えるのが楽になるものもないから質が悪いと思います。こうした状況の中で自分はどのように意見を発していくべきなのか、ブログ界は今、大きな曲がり角にさしかかっているような気がしてなりません。
Posted by ooaminosora at 2008年07月03日 15:02
 こんにちは。
 私も、記事中に書いたように、温暖化は事実だと思います。また、地球物理学としての惑星の歴史の中で、二酸化炭素が温室効果を持っていたため、高温だった時代があるのも事実です。
 ただ、以下の2点。
○最近の温暖化は、周期的な温暖化・寒冷化のサイクルと比べても急激なのだろうか?
○本当に二酸化炭素を抑制すれば回避できるのだろうか?
 ここがポイントだと思います。

 一方で、温暖化ビジネス陰謀論がありますが、同様に原発反対なるがゆえに、温暖化、二酸化炭素原因説を全否定するのも、思いこみによるもので、陰謀論と変わりがありません。
 必要なのは、上記2点に対する科学的な検証だと思います。賛成、反対はそれからではないかと。
 陰謀論者とは、すなわち、自分に都合のよい情報しか受け付けない人たちです。そうではなく、さまざまな情報を検証しながら見ていくのが、責任ある発言であると思います。
Posted by 眠り猫 at 2008年07月03日 15:37
お久し振りです。
確かに暑くなりましたな。原因が二酸化炭素と言われてもなぁ…
妄想と言われても仕方ないが、例えば太陽からの熱が高くなったとか、地球自体から熱が出てる…何てのもあるかも…等と考えます。
現代科学と星自体じゃ、勝負にはなりませんからな。
Posted by レン at 2008年07月03日 23:39
>レンさん
 お久しぶりです。
 二酸化炭素には、確かに温室効果がありますが、それが今の温暖化と直接結びついているというのは、まだ実証されていないはずです。
 ひょっとするとほかに原因があるのでは?それを見落としては致命的なことにならないか?
 と思います。
 実際、太陽のフレアが一発、地球に向けて放出されたら、地球は丸焦げです。星とはそういうものです。
Posted by 眠り猫 at 2008年07月04日 00:49
地球規模の長期的な気温変動って、十何年かの臭気で上がったり下がったりを繰り返しながら、どちらかに振れていくんですってね。
これから10年ほど、北半球は寒冷化するという予測もあったと記憶しています。

で、確かに
>必要なのは、上記2点に対する科学的な検証だと思います。
は正しいのですが、それと並行、むしろ優先して、環境の変化に対応できるように生活を改めていく、そのために無駄遣いを減らす、ということが、個々人に要求されます。
円周率を一万桁暗唱できるより、真円を手描きできる方が、役に立つことが多いんです。

江戸時代の生活は参考になりそう、インターネットやコンピューターシステムとの親和性も案外高いようです。

Posted by 千年虫 at 2008年07月04日 01:03
訂正。
前のコメントの一行目。
「十何年かの臭気」を「十何年かの周期」に。
Posted by 千年虫 at 2008年07月04日 01:05
>千年虫さん
 温暖化、寒冷化の周期は、何通りもあるようで、数十年単位、数百年単位、千年単位とあるようです。これらの波が全部重なって底になると氷河期になるわけです。
 最近の温暖化が、はたして、これらの周期的なものとは違うのか?そこが問題だと思います。
 千年虫さんのおっしゃる通り、無駄遣いをやめること(省エネルギー)が、もっとも重要なことです。その意味で、CO2削減論でも、省エネが重視されている部分は、ぜひやってほしいと思います。
Posted by 眠り猫 at 2008年07月04日 04:55
>二酸化炭素には、確かに温室効果がありますが、それが今の温暖化と直接結びついているというのは、まだ実証されていないはずです。

100%実証はされていないでしょう(確か95%の確率で人為的な温室効果ガスの原因と特定されてはいます。)。実証されるのは,地球が本当に温暖化で取り返しの付かないときになったときです。それまで待ちますか? 地球と人類を実験台にするつもりなら良いですが?
それよりも懐疑論者さんたちこそ,現在の温暖化の原因が他にある「確たる証拠」を示してほしいものです。
Posted by ちゃこ at 2008年07月04日 13:07
>ちゃこさん
 はじめまして。
 温暖化は確実だと思うので、それが人為的な要因であるかどうかについて、とにかく研究を継続し、また対応を取っていくべきだと思います。
 体制反対、原発反対という、既存の対立の構図に矮小化して、温暖化議論をするのは間違っていると思います。
 紫外線の害の問題で、フロンガスが規制されたように、別に利益至上(フロンガスは安くて有効な安定したガスだったが、オゾン層破壊ということで、経済性を度外視して規制された)でなくても、環境のために人為的影響を規制するというのはあり得ます。
 「反原発」という、比較的小さなイシューを主張するために、科学的根拠を示さずに、陰謀論に拘泥するのは、馬鹿げていると思います。
Posted by 眠り猫 at 2008年07月04日 13:16
眠り猫様
めずらしくコメントさせていただきます。温暖化議論については、のどに引っかかったような状態のままになっています。しばらく前、いつものように日記のエントリを書いておりましたら、理系のことは本やネットなんか見るんじゃなくて、journalを読むんだよとコメントをいただきました。http://sansaku.at.webry.info/200805/article_6.html
しかし、日常生活のな中で、科学雑誌にまで手を伸ばす気力はありません。おのずと言及しないということになります。ですから温暖化議論についての思考は止まったままです。(というより、もともとあまり考えていません。)その上で、それまでに見かけたことについて書くとすれば、らくちんランプのスパイラルドラゴンさんが、ずっとこのテーマでエントリを書かれているのはご存知のことと思います。スパイラルドラゴンさんは、藤田東吾氏のユーチューブ映像をUPしたり、浅野さんの映像をアップしたり、行動的で、それゆえマスコミ報道に懐疑的ではあると思います。しかし原発に反対するがための理屈付けとは思いません。(上記のように私は頭がついていかないので氏のブログをフォローしておりません。)あと、「The Global Warming Swindle」というVを貼らせていただきますが、私は、理系のことは本やネットを見るもんじゃないとコメントをいただいておりますし、冒頭だけしか見ておりません。http://video.google.com/videoplay?docid=-642469597858991670 自分が見ていないものをご紹介するのは、とても気が引けますし、これも一つの運動かもしれませんが、眠り猫様が思索をされる上での批判的な資料にでもなればとご紹介しておきます。今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by 散策 at 2008年07月09日 09:49
>散策さん
 情報提供ありがとうございます。
 スパイラルドラゴンさんのことは知っています。 あの方の場合、温暖化自体を否定されていますので、少し議論の土俵が違うかと思います。
 ならばなぜ、CO2の議論にあれほど激しく反発しているのかわかりませんし、ご本人を交えないでの論評はいたしません。
 私は理系では無いですが、理系の会社にいるもので、エネルギーやCO2についての知識は並よりはだいぶあります。
 今後の参考にさせていただきます。
Posted by 眠り猫 at 2008年07月09日 10:58
温暖化があっても、中央アジアやロシア主導権を握るというのはどうかと思います。内陸部では、結局輸送コストがかかりすぎるという問題が生じるでしょうし、広大なアメリカ領アラスカでアメリカは農業生産については低下分を補えるかもしれませんし、ブラジルにかわって、カナダも大農業生産国になるかもしれませんので、わかりません。北米でも同じことが言えるわけですし、実際に起こってみないとわからないでしょう。
気候変動についてシミュレーションというのは非常に難しいのです。というのは実験ができないでしょう。組み立てたモデルの検証が原理的にできず、再現性を確認できないのです。定量化も非常に難しいです。地学の学問領域はここが、物理学、化学、生物学とは違い、文系っぽいところがあります。
わたしは、温暖化が起こったところで、現在の大国の力関係はあまり変わらないだろうと思います。
Posted by ぺんぺん at 2008年07月10日 05:40
はじめまして。
いつもブログ読ませていただいてます。
頭悪いので、ゆっくり理解しながらですが^_^; 今頃ですが、こちらの記事読ませていただいて、本当に良かったです。
なんだかどうなっているんだろうって思うことが、整理されてよくわかりました。
ありがとうございます。
Posted by kumako at 2009年03月15日 23:07
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/102057814

この記事へのトラックバック

7/3: 今日のトピックス  サミット首脳宣言に「核削減」初めて明記
Excerpt: 「護憲+」ブログ: 年金問題を忘れるな!(リメンバー〜「消えた」年金)   (蔵龍隠士)「護憲+」ブログ: 2007年を振り返り、200...
Weblog: 今日のトピックス Blog
Tracked: 2008-07-03 21:08

北朝鮮問題、環境問題、それにブログ言論の乱れなど...
Excerpt: 「きっこの日記」経由で、「デヴィの独り言 独断と偏見」の記事「北朝鮮のテロ支援国家指定解除について」を知った(下記URL)。http://ameblo.j...
Weblog: きまぐれな日々
Tracked: 2008-07-06 13:58

「温暖化防止=原発容認」の誤解
Excerpt: どうも政治ブロガーの間では、「温暖化ストップ=原発容認」という流れになっているようで、みーぽんもはからずも「原発容認派」の一員に数...
Weblog: みーぽんのカリフォルニアで社会科
Tracked: 2009-03-21 06:31
RSS取得