今回の会場となったホテルは、安倍前首相の財界との関係から決められたもので、そこに利権の動きがあったという情報もあった。
しかし、その当の本人は、自らの失態と参院選惨敗、意味不明の放りだし辞任を行い、そのあとを引き継いだ福田首相が、今回のサミットの議長を務めて、3日間のサミットが終了した。
自民党および福田首相は、今回のサミットで成果を出し、政権浮揚策、支持率回復を意図していたのは過去の経緯からわかっている。
過去4回、日本でサミットが開かれた際にも、衆議院の解散総選挙が行われ、自民党が、選挙対策のためにこのサミットを利用しようとしてきたのは歴然としている。(ちなみにそれでも自民党の1勝3敗。)
では、今回のサミットは成功、または何らかの成果があったと言えるのだろうか?
政府の御用新聞、読売新聞とその系列の日本テレビなどでは、ひたすら、「成果があったと」いう言葉を使って、福田首相を持ち上げている。
しかし、実際に結果を見てみよう。
そもそも、対ソビエトで、西側諸国の結束のために始まったサミットは、その後経済問題を論ずる場に様相を変え、さらにEU統合や、アメリカの独善など、各国の思惑の違いから、サミットの場で具体的な問題解決がなされるということは全くなくなり、「セレモニー化」が言われて久しい。
今回も、参加各国間の懸案というようなものは議題にはならず、ある意味漠然とした地球環境問題(CO2削減)や、原油高騰、食糧問題という、確かに重要なことであるが、その成果を評価しがたいものだけが議題となった。
この3つの議題について、はたして成果があったと言えるであろうか?
私は、無いと断言する。
食糧問題については、対アフリカを中心にした援助を拡大するという、事前に決まっていたことを確認したにとどまる。原油高騰については、はたして懸念を表明した以上の成果はあっただろうか?いずれも、穀物市場、原油市場で利益を上げているアメリカの、オイルおよび穀物メジャーとのかかわりが深いブッシュ大統領が、サミット以前からこの問題に一顧だにしてこなかったことが、今回も確認されただけであった。つまり具体策は何もないということである。
では、地球温暖化ということをメインにしたCO2排出規制についてはどうであっただろうか?
CO2が温暖化の原因か否かという話は、今は置くとしても、この件でも、アメリカが従来通りのかたくなな姿勢を崩さず、福田首相が目指した、2050年までに、排出量の世界全体で総量を50%削減という目標は「問題を共有する」という表現にとどまった。
G8という枠組み以外でゲストとして参加した新興国などからは先進国の過去の責任を主張され、一方で、ブッシュ大統領は、新興国を含めての削減という姿勢を崩さなかった。
結局、事前に言われていたことよりも、踏み込んだ結果は何も得られなかったのは確実である。それどころか、たとえ口先であっても、原油市場や穀物市場への憂慮の表明すら行えなかった。
つまり、もともとセレモニー化したサミットで、無理やりこじつけた議題(安倍前首相当時、穀物や原油の問題は話題にすら上っていなかった。つまり付け焼刃の議題だったのは明白)で、それでも形式的な合意や効果のある宣言すら採択されなかったのである。
日本の成果として一部マスコミが強調しているのは、北朝鮮による拉致が、「共通の課題」として認識されたということであるが、これで何かが変わるというものでは全くない。拉致が、国際犯罪であることは、何もサミットで確認してもらわなくてもわかりきったことだ。問題はそれをどう解決、決着させるかということで、この点については、拉致について全く関心がない故に外交辞令として言葉だけは飾るヨーロッパ各国にとって、今回の宣言や合意は、紙一枚の価値しかない。
結局は日本が独自の外交力で解決するしかないのである。
つまり、今回のサミットで議長国を務めた日本にとって、このサミットで何か成果があったかと言えば、直接の関心を持たないヨーロッパの皆様に、「拉致」という言葉を認めてもらったという以外には、何の成果も出なかったのである。
実際、原油や穀物の高騰になんらかの影響力があったとすれば、一昨日の東京市場の株価は暴落しなかっただろうし、昨日も結局20円程度しか上昇しなかった。この動きは海外でも同様である。つまり、新自由主義者が主張する、「市場」というものは、このサミットに何の価値も見出していなかったということである。
まぁ、サミットよりも、バーナンキFRB議長のドル高是認発言の方が市場を動かしたくらいである。G8などと名乗り、首脳が日程を調整して、北海道まで来て、「市場」は何も反応しなかったわけである。
繰り返す。
読売系、産経系のメディアは、今回のサミットで「成果があった」とばかり強調しているが、具体的に何があったかといえば、何もない。あったならば市場が反応したはずである。
また、保守系メディアの大見出し以外の報道では、英紙が報じた、食糧問題を論ずる場で、豪華料理でディナーを食べる首脳を批判した記事が世界を駆け巡っている。
そもそも英紙の多くは、スキャンダル重視の軽薄なタブロイド版が多いとはいえ、そこで批判されたことに、世界が共感しているのである。
また、同じ項目(共同宣言の内容や、各議題の結果について)への、時事通信や、ロイターの報道(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-32668520080709)は、読売や産経と正反対である。成果がないことを「ある」と言い募っているのは、普段から政府系とされる、御用マスコミにすぎない。
世界の経済や通貨をリードし、核兵器を保有する大国らが一堂に会し、友好と協調を謳うのは悪いことでは無い。下手に軍事同盟を進めるよりかは良い。
しかし、そこに具体的な「成果」を求めたとしたら、今回は全く成果がなかったと言っても過言ではない。
すでにレイム・ダック状態(任期切れが間近く、何もできなくなったアメリカ大統領を指す)のブッシュ大統領が、何も新しいことはいえず、従来の姿勢に固執した結果、結局アメリカの独善に振り回されたのが今回のサミットであり、政権浮揚策という、党利党略に固執した福田政権も、マスコミ操作による宣伝をしなければならないほど、成果のなかったサミットなのである。
明日からは、また、サミット以前と何の変化もない日常が続く。
拉致問題は日本が独自に解決しなければならないだろう。また、原油や穀物については、相変わらず問題が続くだけだ。
自民党の選挙対策のサミットは、各国のそれぞれの思惑から、まったく無視されて終わったと言える。次の課題は、北京オリンピックで、国粋的感情を煽ろうとするマスコミだが、選手各位の活躍は願うものの、それを政治に利用されたくはない。
また、開催地が中国ということもあり、品格のない産経系を除いては、基本的に中国への友好姿勢で報道せざるを得ない(反中国記事を書いたら、オリンピックのメディアセンターから追い出されるだろう)。
自民党の政権浮揚策は、ほとんど無効と言える。臨時国会を早期に開き、そこで野党は審議に参加し、自民党を追い詰めて解散に追い込むことが、今後の政治課題となろう。



