2006年11月17日

安倍晋三の不可解なエートス

 数日前、私は、月刊「現代」における、複数の著名人による、安倍晋三評を読んだ結果として、自分なりの安倍晋三観を記事にした(「空虚であるがゆえに危険な安部晋三」 http://heiwawomamorou.seesaa.net/article/26915975.html」 )。
 この記事は、他にも「AbEndフォーラム」にもほぼ同文を掲載し、数百のアクセスを受けている(同文なので双方読む必要は無いです。http://atbb.jp/abend/viewtopic.php?t=67 )。
 
 この記事の中で、私は、安倍晋三を、「祖父の岸信介に倣うことだけを血統的エートスとした存在」と表現した。
 「エートス」とは、他の「パトス」(情熱)、「ロゴス」(論理)と一緒に良く使われる用語で、「内面の情念」、「思い込み・執念」とでも訳すべきものである。
 
 今回の教育基本法の強行採決に、官邸サイド(安倍の意向)の強い要請があったという報道を目にした。
 公明党からも、自民党参議院からも、日曜日の沖縄県知事選挙の前に、強行採決はまずいのではないか?と言う意見が出ていたにもかかわらず、安倍の理由を示さない主張で強行をしたのである。
 私は、この姿に、やはり自分の記事で書いたことは正しかったという確信を得た。安倍晋三とは、まず、「これをこうしたらどうなるか?」、「国民にどのような影響を与えるか?」、「どのような反響があるか?」などといった、諸事情よりも、自己の内面にある、岸信介が体現した復古主義への回帰と言う、血統的「エートス(情念)」にのみ突き動かされて行動しているのである。
 彼には、議論は通用しない。議論をしても、人の意見に耳を貸すつもりは全く無い。「ロゴス(論理)」が欠如し、また、「日本をこうしたい」と言う「パトス(情熱)」にも乏しく、単に、祖父のあとを追い続けるだけの空虚な存在なのである。
 しかし、ここに危険性がある。要は、話が通じないのである。
 
 小泉内閣時代、今の安倍のようなタカ派の思想を支持して、自民党に衆議院で多数を取らせた国民はいない。あれは、良きにつけ、悪しきにつけ「郵政民営化選挙」であった(そうされてしまった)。
 しかし、そこで得た、衆議院での絶対多数を背景に、安倍は、自らは論理的根拠すら持ち合わせていないまま、祖父への追従と言う、内容としては、戦前の暗い時代への復古主義への回帰を、無思考に自らの義務として実行しようとしているのである。
  喜八さんの「喜八ブログ」では、「安倍政権の「敗着」」(注:囲碁の用語で、敗因となってしまう決定的な悪手のこと)と言う表現で、教育基本法強行採決のことを安倍の自ら政権の墓穴を掘る行為と評している。
 まさにその通りで、発足1ヵ月半で、支持率が6または10%も下落するという状況の中、国民の中には、安倍のタカ派色、強権的姿勢などに対する反発が高まっている。
 しかし、このような状況も安倍には目に入らない、または関心が無いのである。彼には「ロゴス」が無いから。
 祖父に対する盲目的な「血統的エートス」のみに突き動かされている安倍は、「ブレーキの無いダンプカー」のような危険な存在なのである。
 
 もちろん、このように、世論に鈍感で、まさに「敗着」を続ける安倍政権は、私たちにとっては、攻撃しやすい政権である。しかし、現実には、マスコミに対する強圧的介入により、ここ1ヶ月の、読売新聞、サンケイ新聞、週刊文春、週刊新潮、月刊文藝春秋などの元から保守的なメディアも、その報道内容が、以前よりさらに極端で、しかも内容としては全く価値の無い、政府のちょうちん持ち記事の垂れ流しになっている。朝日新聞とて例外ではない。
 安倍の「血統的エートス」に基づく行為は、マスコミによる世論操作にまで及んでいるのである。安倍の暴挙を敵失として喜んでばかりはいられないのである。過去、これほどまでの世論操作が為されたことは無かった。もし、国民がそれに流されてしまった場合、とんでもないことになる。 安倍の持つ、危険性。それは国民を巻き込んで、自民党、いや日本全体をも滅ぼす可能性のある、無目的な破滅的懐古主義なのである。
 
 私たちは、今こそ、この事実を認識し、一般に流布し、安倍とともに日本が心中する結果にならないように、民主主義による歯止めを行うべく力を尽くさなければならない。
 
 安倍政権は、単なるこれまでの利権漁り目的の政治屋集団の自民党政権ではない。「理屈の通じない、危険な軍国主義回帰政権」なのである。「この時代にまさか」と言う右派の人も多いが、事実はこの通りなのである。
 単に個々の政策問題を批判するだけでなく、この安倍政権の危険性を強く訴えて行き、日本国憲法を守り抜くために、私たちは、性根をすえて、戦い抜かねばならない。さもなくば日本を待つのは、冗談抜きで滅亡への道である。過去そこまでの危機を日本にもたらした戦後政権は無かった。しかし、今はその危険性が高いのである。
 注視し、行動し、勝利しなければならない。
 
 私もまた、微力ながら、立花隆氏の言葉を借り、「安倍復古主義的改憲政権への宣戦布告」をここに行う。
posted by 眠り猫 at 15:03| 東京 ????| Comment(9) | TrackBack(10) | 思想
この記事へのコメント
> 「エートス」とは、他の「パトス」(情熱)、「ロゴス」(論理)と一緒に良く使われる用語で、「内面の情念」、「思い込み・執念」とでも訳すべきものである。
3つの概念の位相差、とりわけ「エートス」と「パトス」が情熱と情念では、この違いが明確ではない。
用語法の再検討を!
Posted by チェッカーズ at 2006年11月17日 15:40
>チェッカーズさん
 さっそくのコメントありがとうございます。確かにわかりにくい用語ですが、私としては以下のように定義させていただきます。
エートス=幼い頃からの刷り込みなどによる、「思い込み」的な、行動の動機。
パトス=日本語の情熱と同義で、瞬間的に燃え上がることもあれば消えることもある。
 両者の違いは、エートスの方が無意識的でしかも執念深い。また他の影響を受けにくい。
 以上のように補足いたします。
 アドバイスありがとうございました。
Posted by 眠り猫 at 2006年11月17日 16:07
はじめまして、みりと申します。

わたしも、安倍さんは、幼いころからの刷り込み
による、思い込みの人だと思います。
らんきーぶろぐさんのところなどにもコメントさせて
もらったのですが、私の知人は、安倍さんのことを
人目見ただけで、「あの目の人間は、うそつきでひきょうな人間だと言ってました。人の言う事を
聞かずに、人から聞かれたら、こう話そうと考えながらしゃべっている。相手を見ていないと。
それで、自分の考えがないので、しゃべり方が機械的で、誰かにしゃべらされている。
自分の考えがないから、人の考えを聞いて、それが得か損かを考えるのが自分の考え。
頭はいいけれど、心がない、危険な人といってました。
エートスと表現されたことと知り合いが言ったことが
自分では妙に重なる部分があると思ったので、コメントさせてもらいます。

安倍さんのことを調べている人も、ただ顔を見て
直感で言っている人も、安倍さんの思想が「危険」であることは一致してますね。

今日、大田光も番組で国民よりも安倍さんの方が愛国心がないって断言してましたw
ひどい国でも愛するのが愛国心じゃないかってね。
Posted by みり at 2006年11月17日 22:30
適切でなかったら削除して頂きたいのですが、携帯一本で、強行採決を指示するなんて、一国の首相とは思えません。正直ぞっとしました。ほとんど自分の世界がすべて、という感じです。強固なある種の幻想の中に生きている気がします。とんでもない人が選ばれたものです。かなり、苦しい闘いという事です。ただ、絶対に負けられない闘いでもあります。
Posted by メロディ at 2006年11月17日 23:44
>彼には、議論は通用しない。議論をしても、人の意見に耳を貸すつもりは全く無い。「ロゴス(論理)」が欠如し、また、「日本をこうしたい」と言う「パトス(情熱)」にも乏しく、
> 祖父に対する盲目的な「血統的エートス」のみに突き動かされている安倍

経済学における生産GDP、分配GDP、支出GDPの三面等価と同じように、人間の行動原理を哲学的に説明する概念がロゴス、パトス、エートスの三側面で構成されています。「ロゴスが欠如、パトスにも乏しく、エートスのみ」という評価はありえません。彼なりのロゴスとパトスがあり、それを解析することで評論足りえます。自己流に過ぎる概念解釈ではタメにするトンデモ論というしかなくなります。何でも言った者勝ちで、無茶な論立てを押し通すようでは、お馬鹿な安倍と変わりが無くなりますよ。

ドイツ語学エッセイ
パトス pathos ギリシア語で、〈受動的状態〉〈感情〉〈情念〉などの意。英語読みでペーソス。passion や patience とも同系で、〈受苦〉〈受難〉〈苦悩〉などを含意する。能動的・理性的契機としてのエートスやロゴスと対比され、西洋哲学の主流では否定 ...
www.dokkyomed.ac.jp/dep-m/german/ess37c.html

言語技術
レトリックにおける説得の三側面 弁論家. ロゴス 議論の内容(理由づけや事実の印象)による説得 論証する. パトス 聞き手の感情や利害関心にうったえる説得 感動させる. エートス 話し手への信頼や好意による説得 好かれる. 2.事実と意見の区別 ...
www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~ame/word/argmnt1.html

言語技術
アリストテレスは、言葉による説得の方法を、ロゴスによるもの、エートスによるもの、パトスによるものに三分類している。ロゴスによる説得とは、推論や例証による説得である。エートスによる説得とは、語り手の人柄・品性による説得である。 ...
www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~ame/word/speech.html
Posted by チェッカーズ at 2006年11月18日 09:19
やはりこちらもポラスキニフで行きます。

自民党の化けの皮が剥がれてきましたね。協畜の疑惑は、いきなり安倍晋三に行きました(笑)。裏ポークの脱税手法はかなり巧妙な手法だったそうです。まぁ、晋三ボンは知らなかったのでしょう、所詮はボンボンでママや秘書などに丸投げでしょうから。ただそんな人間が首相は非常にマズいでしょう。またバレたら返却は通用しませんよね。それならバレなければ返却していないと言う事です。本当の古くからの支持者なら、例え違法行為を行っていた会社と言えどもガンと突っ撥ねるのが筋というものです。簡単に掌返しをする節操のなさ(笑)。子どもの教育唱える前に、お前ら政治家の倫理観の基本法作れよと思います。そして相変わらず利権で私腹を肥やすお前らが教育を語るなと。これが出る前に教育基本法を衆院で通したとしたら、どうでしょうか?またいいタイミングで、ボンはAPEC外遊ですからね(笑)。ただ農水相松岡利勝は、お得意の農水分野ですから絶対これにも絡んでいると思うんですが。アイツはいつ塀の中に落ちてもおかしくない政治家ですから、そろそろ落ちてもらった方がいいかと思います。

そう言えば中川秀や世耕も、和歌山の木村絡みで捕まったゴルフ場経営者とタダでゴルフをしていました。世耕といえばプロパガンダ担当補佐官(笑)ですが、彼のブログでの釈明内容は古い自民党そのもの。そしてこれもバレたから支払うって何なんでしょうね。バレなければこれも支払わなかったのね。払うつもりだったって釈明には笑止千万です。ただ追求すべきメディアである朝日の記者もこのゴルフ場経営者から金を貰っていたそうで、これにもトホホですが…。
Posted by ポラスキニフ at 2006年11月18日 09:22
はじめまして、さあやと申します。
私は阿部信三に政治家としての魅力を感じない人でしたが、私が感じていたのはこれかー!!とすごく共感致しました。PCも初心者で平和ブログも超初心者ですが、これからも楽しませて頂きます。
Posted by さあや at 2006年11月19日 01:55
 まとめてで失礼します。
>みりさん、メロディさん、さあやさん
 私の感じていることが伝わったようで、ありがとうございます。
 今後、また別の切り口からも述べていきますが、安倍晋三は、「自分のことしか考えていない、後先考えない、危険な人物」と言うことです。
 自民党支持の人たちの多くは、「安定」を望んでいますが、安倍がもたらすのは、「強権的支配と人権の抑圧」であり、「経済を含めての統制強化」と言うことで、多くの自民党支持者にとっても危険な存在です。そういった点をアピールしていきたいと思っています。
 ではでは。
Posted by 眠り猫 at 2006年11月21日 00:11
>ポラスキニフさん
 コメントありがとうございます。
 的確な情勢判断、敬意を評します。
 私は、それらを元に、活動を進めて行きたいと思っていますので、今後も逐次ご意見いただければ幸いです。
 では。
Posted by 眠り猫 at 2006年11月21日 00:28
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