2007年07月23日

安倍政権の経済政策が内包する矛盾

この選挙は利権誘導政治か民主主義政治かの選択選挙!

 記事の前に、「ネットビラ」をご覧ください。参院選まで続けます。

 http://abehaiboku1.seesaa.net/ 「安倍政権は何をしてきたか」 閣僚らの言行録
 (麻生発言を追加しました。)
 (塩崎官房長官事務所費問題を追加しました。)
 (山本農水副大臣発言を追加しました。)

 http://senkyo1.seesaa.net/     「選挙に行こうよ」
 http://senkyo2.seesaa.net/     「棄権は危険!そのわけは??」
 http://kaiken1.seesaa.net/     「国防のために自衛軍が必要とお考えの方に」
 http://kaiken2.seesaa.net/     「安倍の軍国主義的政策の問題点」

 リンク、転載、大歓迎です(あちこちのブログで掲載いただき感謝です。)。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 私は、大学時代の専攻は法律で、経済についての知識は、高校の政経の程度しかない。
 ただ、民間企業に長年勤めているため、新聞などから、多少なりとも経済に関する知識を得てきた。
 その中で、「大きな政府」、「小さな政府」と呼ばれる、政府の経済への関与についての知識を得た。

 「大きな政府」とは、俗に「ケインジアン」と呼ばれる、経済への国家の積極関与を主唱する説に従った国の政策を示し、市場経済に規制や介入を行い、時には公共事業投資などの財政出動で景気を刺激する考え方で、社会面では福祉重視、その一方で財源となる税負担等は重くなるというものである。20世紀初頭の「大恐慌」に対して、アメリカのルーズベルト大統領がとった、「ニューディール政策」は、積極財政の典型例とされる。


 これに対して、「小さな政府」とは、「ケインジアン」以前の、アダム・スミスが唱えた、「夜警国家」論に淵源を持ち、国家は軍事や外交などの限られた面でのみ社会に介入し、経済は規制を最小限にした自由主義経済に任せると言う政策である。この場合、経済は市場原理が中心となり、競争が奨励され、福祉は最小限にとどめられ、税金は軽くなる。

 一応、この2つが、現代国家における経済思想の基本として存在する。

 「高福祉、高負担」の代表とされる、北欧諸国の経済運営は、「大きな政府」の代表例と言える。
 一方で、アメリカのレーガン大統領や、イギリスのサッチャー首相が行った、福祉の削減、公営企業の民営化と言った政策は、「小さな政府」を目指していたと言われる。

 現在においては、アメリカのクリントン政権以降のグローバリズムと呼ばれる、市場原理重視の考え方は、今、「新自由主義」と呼ばれ、議論の的となっている。ブッシュ政権も、コイズミ構造改革も、基本はこの新自由主義である。


 しかし、新自由主義は、市場競争を至上のものとして考える。また、公共事業による財政出動は削減され、国の負担は減ることになる。
 コイズミ、っと言うより、その閣僚であった、竹中平蔵が中心になって推し進めた経済政策がそれであった。コイズミが「自民党をぶっ壊す」と豪語していたのは、過去の田中角栄、竹下登らを代表とする、赤字国債を出しながらも、公共投資による景気刺激を重視し、その配分の中で、利権を漁ると言う、自民党土建族のあり方を否定し、公共事業を削減すると言うのが、その本旨であった。道路公団などの民営化はそれを目指していると称した。


 確かに、公共事業の削減は、自民党の旧来の土建族の利権組織を破壊したと言われる。
 その一方で、競争原理を基本とする市場経済優先主義は、強者はより強く、弱者はより弱くなるため、世界的にはアメリカの一人勝ち、国内的には福祉の削減も含めて、格差の拡大を招いたと言える。
 
 また、コイズミ改革で、本当に小さな政府となったかと言うと、疑問が残るのは、コイズミの属する、金融族、厚生労働族の関係組織には、手厚い保護を与え、破綻しかかった銀行への公費投入や、小さな政府では当然とされる減税を行わず、逆に増税を行った点など、必ずしもコイズミが「小さな政府」を達成したとは言えない。
 コイズミ改革の継承を唱える安倍政権においても、この「小さな政府」と言う、新自由主義から導かれる結論とは、かなり違った経済政策となっている。

 今日の毎日新聞の社説だが、(http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070723k0000m070118000c.html
 ここで指摘されているように、安倍政権の参院選の公約では、コイズミ改革を継承するといいながら、その一方で、「美しい国」のために、地方経済の活性化のための財政出動や、「再チャレンジ」などに国が関与すると言うなど、「小さな政府」とは程遠い政策が並ぶ。

 また、軍事偏重主義、消費税の増税と言うのも、「小さな政府」ではなく、「大きな政府」で行われる政策である。安倍は消費税増税を否定したり、しなかったり、相変わらず、「無定見な点がはっきりしている」が、本音は増税路線であることは間違いない。その税金を使って、今度は彼の派閥である、重工業・軍需産業族への利益誘導を行おうというのであり、北朝鮮の脅威を口実にして、実際には迎撃能力の無いミサイルの大量購入や、三菱重工の進める国産ジェット旅客機の開発資金に、ポンと300億円を投じるなど「小さな政府」とはとても言えない政策を取っている。


 これは、以前の記事にも書いたように、アメリカも日本も、新自由主義を唱えながら、軍事偏重の新保守主義(ネオコン)と言う、自由主義とは矛盾する政策を取っているために起きる現象である。

 安倍は、民主党の年金対策について、財源を示すべきで、財源として増税を行うのか否かはっきりさせろと主張しており、民主党は「大きな政府」を目指すと、批判している。

 確かに、民主党は、主張の裏づけとなる財源問題を明確にする義務を負うと思うが、安倍の政策が「小さな政府」とは言えないのである。どちらかと言うと、「大きな」、「小さな」の双方のうち、利権政治家にとっては有利、その分国民にとって不利になる部分だけを行っているかのような、矛盾した経済政策となっているのが実状である。

 これは、やはり、「利権漁り集団」である自民党の性格が鮮明に出たもので、彼らは国民のための政治を行うつもりは無く、自分たちの私利私欲のための政治を行っているのである。

 実際には、「大きな政府」も「小さな政府」も、双方ともにベストの回答ではない。 「大きな政府」では、経済が刺激され活性化するため、その利益を享受できる面があるが、国の支出が増え、増税される。「小さな政府」では、軍備や税金が削減され、市民の負担は軽くなるが、巨大な公共事業資金を失った経済界は、自由競争の結果、強者のみが生き残る世界となる。

 双方の理論とも功罪相半ばし、その時点における、国家や国際関係の状況から、両者の間のどこかで最適化を図るのが、政権を担うものの責任と言えるのである。また、自由主義を追求しながらも、弱者救済の「セイフティ・ネット」の構築が叫ばれているのが現在の日本の状況である。


 確かに赤字国債を乱発して、利権をあさり続けた自民党の土建政治を破壊し、その財政赤字を縮減すると言う建前としての新自由主義導入は、間違いとは言い切れない。
 しかし、新自由主義万能論で、金儲けが第一、競争のために何をしても良いといった社会現象を引き起こしているのも事実であり、「行き過ぎた新自由主義」が批判されるべきときが来ていると思う。
 さらに、ネオコン政治屋である安倍の経済政策は、私利私欲のために、矛盾に満ちていると言うのが、毎日新聞の指摘から私が導く結論である。今後の国民の生活を考えたときに、安倍政権を選択するのは誤りであると断言したい。

 さらに付け加えるなら、経済では新自由主義と言う、一種の「野放しの自由」を標榜しながら、自民党の憲法改正草案では、自由権を含めた基本的人権に、制約を加えると言う、全く支離滅裂な姿勢をとっている。
 学問的知識を敷衍すれば、自民党安倍政権と言う物が、利権のためのみに行動している政党であることが理解できるのである。

「安倍内閣打倒こそが護憲への早道」

posted by 眠り猫 at 18:25| 東京 ??| Comment(8) | TrackBack(19) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

非常に面白い記事だし、引用されている毎日新聞の社説がまた面白いですね。

確かに、アメリカの新自由主義はレーガンが始め、クリントンが本格化させたと思います。クリントンは、民主党の政治家であるせいか、AbEndでもあまり叩かれてこなかったと思いますが、日本にグローバリズムを押し付けてきたのはクリントンで、それを丸呑みしたのが小渕恵三でした。この二人の罪はきわめて重いと私は考えています。

それにしても興味深いのが毎日の社説で、従来同紙は朝日や日経とともに、コイズミの経済政策を支持する立場をとっていたと思うのですが、はっきりコイズミの経済政策を「新自由主義」(批判的なニュアンスをもった用語)だと断定するとともに、安倍の政策の矛盾を鋭く突いていますね。

なんか、ここにきて急に毎日新聞のジャーナリズム精神が甦りつつあるのを見るような気がして、ちょっと興奮させられました。

(実をいうと、私が明日の記事に書こうとしていたテーマとかぶります。これは書き直さなくてはw)
Posted by kojitaken at 2007年07月23日 19:38
>kojitakenさん
 コメントありがとうございます。
 おっしゃるように、この毎日新聞の社説は、経済がわかる人から見れば、痛烈な与党批判になっており、選挙投票直前の記事としては、かなり思い切ったものだと思います。また、わかりやすい文章で書かれていますし。経済学がわからなくても理解できる文章です。
 毎日新聞のジャーナリズム精神の発露と思いたいですね。
 こう言う時、悪い例で引用されるのがゴミ売り新聞、低レベルなので誰も相手にしないのがサンケイですね。
 あと、メジャーなマスコミ唯一、東京新聞が辺野古での殺人未遂について記事にしています。
Posted by 眠り猫 at 2007年07月23日 20:02
知識として知っていてもここまでわかりやすく解説するのは大変だと思います。兄の筆力に感服します。
歴史物でもそうですが、専門学者になると踏み込んだことを平易に表現することが困難になります。その点、ブログは素人でも気負いがなく、同じ土俵で活躍できるので便利な媒体ですね。
Posted by ましま at 2007年07月23日 21:35
こんばんは。

>毎日新聞のジャーナリズム精神の発露と思いたいですね。
私はそこまで楽観していません。次の局面に向けて重しが外れた、くらいに考えています。
グローバリズム〜心中主義の政治装置として、与党独裁でも二大政党制でもいい、そして猿回しにとって、利口な猿がほしい、猿回しも要員交代するからね、というところでしょう。
マスメディアも程度の差はあれ全て営利企業ですから。

>その財政赤字を縮減すると言う建前としての新自由主義導入は、間違いとは言い切れない。
これは違うと思います。ネオリベのサイクルは10年、20年という長期に渡り、その間に肥大します。
肥大するのは資産よりも市場、つまり餌場です。だからグローバリズム(+軍事行動)によりテリトリーを拡大する訳です。
もし対外的に戦争できなければ(戦争できても国内に獲物が転がっていれば)、自国内で共食いが起こります。
またそれ以前に、財政赤字が本当に赤字かという疑問があり、よく言われているように純債務か粗債務の捉え方で財政状態が違ってきます。
よって新自由主義は取り入れてはいけません(サルコジが新自由主義導入といっていますが、あれはユーラシア大陸の経済地図に合わせたもので、日本やアメリカとはスタイルが全然違います)。

もっとも小泉政権以降の対米のみを国際関係とするグローバリズムで、日本国の資産価値は質的におかしくなつており、経済破綻の危険性は強まっているのですが(このことは書き始めると長くなり、記事とは直接関係ないので以下省略します)。

ところでネットビラの件ではお手数おかけしました。どうもありがとうございます。
こちらでバナーやらくがきを29日まで掲載していくことにしました。
個人的な努力でもやってやりすぎることはないと思います。
これからもよろしくお願いします。

Posted by 千年虫 at 2007年07月24日 01:26
>ましまさん
 お褒めいただき恐縮です。
 つたない文章ではありますし、経済の専門家から見れば、ことはそれほど単純ではないと言われそうですが、結論は間違っていないと思います。
 今後ともご指導、ご意見をお願いします。
 ではでは。
Posted by 眠り猫 at 2007年07月24日 02:45
>千年虫さん
 コメントありがとうございます。
 ご指摘の意味はわかります。
 ただ、今、「新自由主義」と呼ばれているものは、経済学的には、「新古典主義」と呼ばれ、夜警国家論の現代バージョンです。ですから、その根本思想自体は、絶対悪とは言い切れないとは思います。ですから、意図的に、安倍の利権主義を際立たせるために、新自由主義に一定の理解を示すような書き方をしました。
 新自由主義批判は他のブログでも行われているので、そこをメインの論点にはしなかったのです。
 私も、現代の拡大した経済において、「小さな政府」を極端に追求するのは、時代遅れであり、国家の役割として、社会性、つまり福祉や、偏った競争社会の是正を行うのは当然だと思います。
 ケインジアンが、それ以前の夜警国家論への批判から生まれたものであるのと同様、経済の発展と複雑化は、古典主義の1国の国内経済だけを基本に考えられた、「小さな政府論」では、もはや解決できないでしょう。
 コイズミ、安倍の新自由主義は、いわば経済に関しての政府の責任放棄で、強者である大企業だけが勝ち残ると言う構図です。それが様々なひずみを生み出しているのは確かで、「新自由主義で成功した例は無い」と言われるのも、そのせいかと思います。
 毎日新聞の社説は、私としては、今のこの時期に思い切ったものを、と評価しています。
 しかし、毎日新聞は、従来も他の新聞よりはまし、っという程度の記事を書いていました。
 ですから、私の評価は大げさだったかもしれません。
 ネットビラは、「ゆうれい・くらやみ通信」で掲示してあるだけでも、その意味はありますので、がんばってください。
 ではでは。
Posted by 眠り猫 at 2007年07月24日 02:58
[消費税増税 - 税率 10%, 16%, 18% or 30%?]
’07参院選:全候補者アンケート 消費税、自民「引き上げ論」74%−政党:MSN毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070714ddm003010048000c.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/images/20070714dd1dd7phj002000p_size8.jpg

財界や政府・自民党から消費税増税・法人税減税大合唱
http://www.toshoren.jp/Ctg-Toshoren_Undo_News/news2007_06/news2007_06-02.htm
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/3695/1184750808/
米国からの便り 消費税が16%?
http://kensirou2001.blog79.fc2.com/blog-entry-67.html
八国山だより 消費税を16%に
http://patience052.blog101.fc2.com/blog-entry-4.html

日本経団連意見書:「近い将来の税制改革」についての意見 消費税率引上げの展望
「消費税率を、第一段階として3%程度は引き上げるべき」
「消費税率を遅くとも2007年度までには10%とすべきである。」
「消費税で賄おうとすれば30%以上の税率」
「2025年度までの消費税率の増加を18%程度までに」

経団連の40億円の政治献金「斡旋」は何をもたらすか
3.(2)(i)A 消費税の税率引上げ
http://www.rikkyo.ne.jp/univ/hikita/JapaneseEconomy/2007/SEIJIKENKIN.pdf
http://www.rikkyo.ne.jp/univ/hikita/JapaneseEconomy/2007/SEIJIKENKIN.pdf#page=9
http://cs.koukokukaigisitsu.com/copy/5404

棄権は危険!そのわけは??
http://senkyo2.seesaa.net/
http://cs.koukokukaigisitsu.com/copy/5348
言戯: 選挙に行かない人って、バカだなあ。
http://maruccho.way-nifty.com/sobae/2004/07/post_19.html
http://cs.koukokukaigisitsu.com/copy/5353
Posted by No More Tax at 2007年07月25日 21:47
>No More Taxさん
 初コメントありがとうございます。
 税金についてまとめてくださりありがとうございます。こういうことを、庶民に知ってもらうことが大事だと思います。
 では。
Posted by 眠り猫 at 2007年07月26日 03:38
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