2008年02月04日

暴走する「日米同盟」の虚偽と違法性

 先日、NHKが特集番組で、日米関係の今を考えるという3回の放送を行った。
 1回目が日米同盟、2回目がグローバル経済、3回目がプロ野球の話だった。

 私は、一昨日、その第1回の、「日米同盟」に関する放送の再放送を見た。録画もしてある。

 最初に言っておくと、この番組は明らかに国策番組である。日米同盟の必要性を強調するためだけの番組であった。登場し発言する人物は、高村外相、石波防衛相、そして防衛省の官僚とそのOBだけであった。
 彼らは、ひたすら、「日米同盟」 なるものの必要性と重要性を強調していた。例として引かれたのが、先日ハワイ沖で弾道ミサイルの迎撃実験を行った、イージス艦「こんごう」を含めた、ミサイル防衛の話と、第一次湾岸戦争で、日本が130億ドルもの資金協力をしながら、かえって非難をされた事例をあげていた。

 いわく、北朝鮮からのミサイルがアメリカを狙っていた時、日本はそれを迎撃しないのか?日米の緊密なネットワーク(アメリカが一方的に主導している)で運営されるイージス艦システムを、日本の防衛にしか使わないのが許されるのか?また、資金協力だけで、大国としての国際的役割を果たしていると言えるのか?

 前者は、安倍前首相のもとで、集団的自衛権の行使を可能にしようとして使われたロジックである。後者は、コイズミ政権下で、イラクに派兵する際に使われたロジックである。
 そして、いずれも結論は、日米同盟は世界の主導的役割として重要であり、日本は集団的自衛権の行使も海外派兵もためらっている時代ではないということを強調していた。

 しかし、これは、自衛隊、防衛省、防衛族議員たちの、既成事実の先行による、先走りであって、実際にはそのような問題は存在しないのである。その点をまず押さえておく必要がある。

 北朝鮮のミサイルをイージス艦で迎撃することができないことは、防衛省も認めている。また、アメリカは北朝鮮に宥和策で臨んでおり、それが実現すれば。北朝鮮の脅威なるものは激減する。そもそも、葛飾区の予算程度の軍事費しか持たない国が、日本やアメリカ相手に本当に戦争を仕掛けることなどありえない。海を渡って兵力を運ぶ能力もない国なのである。
 そんな「北朝鮮の脅威」を煽っているのも、「日米同盟」なるものを推進しているのも、同じ勢力、同じ人物であることを注視しなければならない。要はマッチポンプで、軍事利権をあさっている防衛族議員とその陣笠マスコミである。


 また、アメリカの対外戦争(イラク、アフガニスタンに対しては、明らかに侵略行為)は、「テロとの戦い」という大義名分で行われているが、それに日本が協力しなければならない理由はどこにあるのか?また、アメリカが「世界の警察官」(私は暴力団だと思うが)として、アメリカの主張を世界に押し付けようという覇権主義政策に、日本がつきあわねばならない理由もどこにも無い。

 現実に、アメリカの要請に従って、イラク、アフガニスタンに派兵した、欧米諸国も、その意味の無さと損害だけが増えていく状況に各国民が反発し、イギリスでは、ブッシュと同一歩調をとったブレア政権は退陣に追い込まれ、あとを継いだブラウン政権は、イラクからの撤兵を決めている。また、政権交代があったオーストラリアでも、派兵を取りやめることが決まっている。
 それ以前に、イタリアやスペインなどはいち早く兵を引いた。アフガニスタンに関しては、フランスは最初から派兵せず、ドイツはアメリカからの増派要請を拒否し、カナダは撤退を求める世論が盛り上がっている。アメリカの大義は、世界の大義ではないことが如実に示されつつあるのである。

 この状況下で、なお、「日米同盟」を強化しようという動きは、奇異にしか見えない。また、日本国民の多数の意見でもない。
 もとより、日本は憲法9条で、戦争の放棄をうたい、その後のなし崩し的解釈改憲で自衛隊を持っているが、それでも内閣法制局は、集団的自衛権の行使はできないという見解を変えてはいない。


 そもそも「日米同盟」とは何か?コイズミが使い始めた言葉だと思うが、日米安全保障条約(安保)の規定すら逸脱して、国内法でも憲法による縛りがあるにもかかわらず、法的根拠を一切持たないままに、防衛族議員と外務省、自衛隊が、なし崩し的に行っている違法行為なのである。

 ミサイル防衛は、侵略ではないから良いではないかという意見もある。しかし、「堤防の蟻の一穴」としようという意図が、安倍前首相には見え見えだった。彼は、国内の合意も議論も一切なしに、アフガニスタンへの派兵をNATOに約束すらしてきたのである。
 ミサイル防衛であっても、内閣法制局が違憲としている、「集団的自衛権」の行使を認めれば、族議員や防衛省は、さらにその先へ進もうとするだろう。


 また、「日米同盟」なるものは、実際の法律や条約としては何も存在しない。コイズミが言い出しただけで、その内容も実態も、国民には説明されていない。そして、アメリカ追従、アメリカの世界覇権路線への協力を進めようとしているのである。
 もし、この動きで、日本国、または日本人やその財物に被害が出れば、法的根拠のない行動による損害として、賠償はもちろん、その責任は甚大である。その視点が欠けているのは、族議員たちは、目先の利権しか考えていないからであろう。


 平和憲法をもつ日本が、世界でもっとも戦争を行っている国の片棒を担ぐことなど、国民は認めていない。違法な行為を進める自民党政権は厳しく糾弾されるべきであろう。

 長くなったので、続きはまた別の機会に記事にするが、今のミサイル防衛、海外派兵の動きは、日本には何一つメリットは無い、違法行為であることを確認しておきたい。

  続きは、具体的に米軍再編のあり方の問題点と、岩国を取り巻く情勢についての記事としたい。
posted by 眠り猫 at 03:07| 東京 ????| Comment(4) | TrackBack(6) | 政治
この記事へのコメント
 さすがいつものように堂々と切り込んだ論述ですね。新聞の外電や特派員のレポートと日本の防衛族の感覚の乖離はなんでしょうか。もっとも私は石破、高村あたりは案外勘所をおさえている、とにらんでいます。安倍を取り巻いていた財界人、御用学者などとは違い、福田・小沢あたりを両にらみにした風見鶏に徹しているのではないでしょうか。
 あいかわらずTBが利きません。では。
Posted by ましま at 2008年02月04日 11:12
>ましまさん
 信念を持って書いてますから。
 防衛族も含め、自民党の利権議員は、目先のことしか考えていないように思えます。
 海外派遣恒久法には、小沢代表も賛成しており、憲法の空洞化が進みつつあります。
 高村、石波のスタンスはとにかく、与野党ともに、憲法をないがしろにし、国際的に孤立するアメリカと心中しようという今の対米盲従路線は、どこかで止めなければなりません。
Posted by 眠り猫 at 2008年02月04日 12:56
第一次湾岸戦争当時、「日本は金だけ出して血を流さない」というアメリカの批判に関して、軍事評論家の田岡俊二氏が、「当時は経済的に日本の絶頂期で、派兵しようがしまいがアメリカは日本を叩いただろう」と、以前CSで話されていました。この手の話を誇張するのは外務省だそうで、彼等も防衛省に負けず劣らず日米防衛利権にどっぷり漬かっているようですね。個人的な感覚ですが、現在、日本は、経済・外交面で、アメリカを周回遅れで追いかけているように思えてなりません。違うコースを走らなければならないのに・・・。その意味でも、いつの間にか与党ボケして福祉と平和の理念を捨てた公明党共々、自公政権の終焉を願っています。
Posted by bronks at 2008年02月04日 21:28
>bronksさん
 コメントありがとうございます。
 おっしゃる通りかと思います。利権の問題もさることながら、今の日本の世襲議員たちには、アジアを含めた、将来を展望した外交に関するビジョンが、まったくないように思えます。アメリカからの圧力や利益誘導もあるのでしょうが、それにしても無策すぎます。
 公明党についても、まさに看板に偽りありで、自民追従の姿勢には失望するのみです。
Posted by 眠り猫 at 2008年02月04日 21:36
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