2008年02月10日

岩国にも影響する、アメリカの大統領選挙候補者選びが白熱している

 今日は、日本の地方自治の命運をかけた、岩国市長選挙である。私は、井原候補の当選を願ってやまないが、アメリカの大統領選挙の結果次第では、岩国の問題も、アメリカ側から、解消する可能性も、無くはない。そのアメリカ大統領選挙の行方を展望してみたい。

 共和党では、中道穏健派とされる、マケイン氏が指名を獲得することがほぼ確実になった。2位につけていたロムニー氏が撤退を表明したからだ。
 しかし、自分自身が神父であり、宗教保守右派のハッカビー氏は、勝ち目がないと思われる選挙戦を今後も戦うとしている。そうなると、中絶反対などの、保守右派の票がマケイン氏に集まらず、本選でも保守票のとりまとめに苦労することになるだろう。


 マケイン氏は、代々続く海軍の家柄であり、祖父は提督でもあった。自分自身もミネアポリスの海軍兵学校の出身で、従軍していたこともある。現在71歳であり、政治家経験も豊富である。
 中道穏健派と言われながらも、戦争政策ではブッシュ大統領を支持しており、日本の政府与党の、「日米同盟」推進派にとってはもっとも好ましい候補とされている。


 このマケイン氏に対して、民主党の側は、ヒラリークリントン氏、バラック・オバマ氏の2人が、互いに譲らぬ戦いを繰り広げているのが現状だ。
 ここに来て、民主党の側から、危機感が生じてきている。これまでは、歴史的な接戦を展開する民主党の方にマスコミが注視し、票の掘り起こしにつながるとされていたが、共和党が、事実上マケイン氏になることが、早々に決まったことにより、本選に向けた準備で、民主党が遅れを取ることになりかねないからだ。
 ここで、下記のような報道があった。
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008020902086268.html
 仮にだが、マケイン氏を相手に本選を戦った場合、クリントン氏とオバマ氏のどちらが勝つかという調査結果だ。
 記事にあるとおり、クリントン氏では、マケイン氏に勝てないという結果が出ている。46歳のオバマ氏に対して60歳のクリントン氏は、「経験」を強調してきたのに対して、71歳のマケイン氏の方がクリントン氏よりも経験が豊富だからだ。
 また、無党派層の掘り起こしに成功しているオバマ氏の方が、実際の本選で、マケイン氏に勝てるという読みもある。


 この報道は、民主党の支持者に大きな影響を与えるだろう。実際に大統領選挙本選で勝てなければ、両候補が約束している政策も実現されないのだから(特に、国民皆保険制度については、保険会社の支持を受ける共和党候補は消極的)。

 さらに、日本時間では9日から10日にかけて行われる、3州+1属領の民主党の候補者選びでは、オバマ氏の地盤であることや、黒人の有権者が多いことから、オバマ氏有利が伝えられている。ここでオバマ氏が大差をつけて勝利すれば、獲得した代議員の数でもクリントン氏に並ぶか逆転の可能性もある。ワシントン州が勝負どころであろう。

 クリントン氏は、すでに、大票田で、保守的なテキサス州などの選挙がおこなわれる、3月9日の「ミニ・チューズデー」の方に選挙対策を絞っており、この9、10日の選挙には、力を注いでいないので、一層オバマ氏有利である。


 正直、オバマ氏は、イメージ戦略で勝ってきている観がなくも無い。また、保守層からは決定的に嫌われている。しかし、高学歴の影響力の大きい階層や、黒人の支持を集め、さらに今まで選挙に行ったこともないという若者の掘り起こしに成功しており、ここで勝つとその勢いは止まらない可能性も大きい。

 以前にも述べたが、クリントン氏には、「大統領になってほしくない候補」という調査で1位になったことがあり、保守層からも、リベラル層からも嫌われている面がある。支持しているのは、民主党右派や、ワシントン時代の人脈による、組織票である。
 オバマ氏の勢いが増せば、民主党支持者は上記の記事の調査の結果などから、クリントン氏を離れて、オバマ氏に投票する可能性は高い。その逆の流れは起きそうにない。

 こうなると、オバマ氏有利の情勢になってきたと言えるであろう。

 オバマ氏も、一概に戦争反対派ともいえないようだが、少なくとも、ブッシュの戦争外交に反対してきた人の支持を集めるオバマ氏が、もし大統領になったら、「世界の警察官」っというブッシュの姿勢を転換して、米軍の世界展開を縮小する可能性もある。そうなると、日本の与党自民党が望む、違法な「日米(軍事)同盟」の構築は、水を差される可能性が大きい。
 その意味では、私はオバマ氏の当選に期待している。岩国の基地問題も解消されるかもしれない。

 私は、3月のミニ・チューズデーで、決着がつくだろうと考える。そこまでで僅差であるとしても、オバマ氏が代議員獲得数で上回っていれば、情勢から判断して、ミニ・チューズデーで勝てなければ、クリントン氏が撤退する可能性が大きいと思う。代わりに副大統領の地位を確保するという方策に出るのではないか?


 オバマ氏が候補になり、大統領選本選でも勝てば、これは初の黒人大統領というだけでなく、政策的にも、ブッシュ大統領とは最も遠い候補の当選であり、アメリカの戦争政策に大きな変化が生まれるであろう。たとえその変化が期待ほどではないにしても、ブッシュよりははるかにましであることは間違いあるまい。自民党にとっては、最も嫌な大統領になるであろう。
 私は、オバマ氏の勝利に期待する。

(追記)
 速報です。
 オバマ氏、ワシントン州、ネブラスカ州で大差で勝つ。ルイジアナ州でも優勢。
 http://www.asahi.com/international/update/0210/TKY200802100041.html

posted by 眠り猫 at 04:01| 東京 霧| Comment(13) | TrackBack(9) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。
TBありがとうございました。こちらからのが依然としてダメです。昨日一日ためしたが送信できず。今日もダメです。
二年前にはそんなことなかったのに。
ところで、根拠はないんですが私はクリントン大統領になる可能性はまだ大きいと思います。そしてオバマが勝ってもクリントン以上のドラスチックな政策はとれないと思います。心情的支持はオバマですが。
Posted by ましま at 2008年02月10日 09:36
昨日、ブログに書きましたが、NHKが特別代議員をいれた数字しか報道しないものだからクリントンが勝つかもしれないと思っちゃう日本人が生まれます

オバマとクリントンとの差がわからない日本人が多いのもNHKの責任ですね
Posted by おのま at 2008年02月10日 12:36
>ましまさん
 TBはそのうち直りますよ。
 今日の3つの州の結果で、すべてオバマ氏が大勝したので、私は流れはオバマ氏だと思います。もう全米調査でもクリントン氏を上回りましたし。特別代議員も鞍替えする人が出るでしょう。
 オバマ氏は、ブッシュから最も遠い政策の人と期待されていますから、私はクリントンより好きです。クリントンは元ファースト・レディで、過去のしがらみから逃れられないでしょう。
Posted by 眠り猫 at 2008年02月10日 12:53
>おのまさん
 今、入れ違いにそちらにコメントしてきたばかりです。
 そうですね、特別代議員という制度を報道すらしていないですものね。
 別の調査では、マケイン氏にはクリントンでは勝てるかどうかわからないが、オバマなら勝てるという結果が出ていて、民主党員や、特別代議員の動向にも影響を及ぼすと思います。
 今日の開票で、オバマ氏はクリントン氏に獲得代議員数で、60前後の差をつけるはずです。
 撤退しろ!ヒラリー!!
Posted by 眠り猫 at 2008年02月10日 12:57
トラックバックありがとうございました。日米関係は、概括的には民主党になっても、共和党になっても、あまり変化はないような気がします。俗には民主党のほうがタイトな対日政策を取ると言われるようですが、どっちになっても属領的支配政策を取ることは変わらないような気がします。しかし、軍産コングロマリットを背景に持つネオコンが、今の形勢不利のままで行きますと窮余の策でイラン侵攻に打って出る可能性があります。戦争経済が不況アメリカの打開策ですからね。その場合、事実上無効化し始めていた安保は一気に再燃し日米軍事同盟の性格を帯びるでしょう。そうなれば小泉純一郎氏の時と同様に属国支配者である日本宰相が自衛隊の軍事支援を表明する可能性があります。問題はこの時、日本のマスコミが誘導報道を繰り返し、九条改憲論を執拗に国民に促す可能性があることです。今のネオリベラリズム一辺倒の報道姿勢や対米従属報道を見るに付け、その可能性は非常に高いと思われます。

 日本に対する米国の狙いは明らかです。日本を新自由主義政策でアメリカと同様な超格差社会に変貌させ、明日に希望のない低所得者層の若者が身分収入の安定した自衛隊に行くような時代が来ないとも限りません。問題はアメリカの意図が、日本から金融経済的に優良資産を収奪するだけではなく、日本国民を使って米軍の盾にしようとしていることですね。ネオコン政権が続く限りその危険性は消えないでしょう。日本人が日本国民の生命、財産、領土を守るために戦うならいいのですが、アメリカの野望を支援するために血を流すようなことはあってはならないことです。ただ、今のアメリカは軍民問わず、かなり厭戦気分が蔓延していてネオコン勢力は風前の灯のようです。それにサブプライムショックで自国のバクチ金融の底が見えてきたという自信喪失もあると思います。しかし楽観はできないでしょう。レーガン時代はゆり戻しで「強いアメリカ」を演出しましたから。アングロサクソンは攻撃的です。

 私も希望的観測ですがオバマ大統領がいいと思います。奴隷として抑圧された黒人のDNAが野蛮なアングロサクソンの覇権侵略志向を変えてくれたらなぁと、ささやかな希望を持ちます。ヒラリーさんはイラク開戦に賛成していますから。

Posted by 神州の泉 at 2008年02月10日 13:38
>神州の泉さん
 コメントありがとうございます。
 おっしゃる通り、アメリカは軍需で経済も科学技術開発も行ってきた国なので、たやすくその構造を変えるのは難しいとは思います。
 また、日本への姿勢は、クリントンなら、今までと全く同じでしょう。
 しかし、アメリカは、巨大な財政赤字のもとにあります。その中で、さらに戦争を拡大したりすると、オバマ氏の主張する国民皆保険などは不可能になります。
 厳しい財政状況の中、そして、アメリカバブルの崩壊の中で、オバマ氏が公約を実現しようとすれば、必然的に、戦争外交の停止、軍の道を選ぶはずです(希望的観測)。
 クリントン氏は、ファーストレディーとしてワシントンとの癒着があり、従来の路線は変えないでしょう。ビル・クリントンの時も、ユーゴ紛争に介入しましたしね。
 オバマは、そういった戦争経済の下で、貧しくなった人や、戦争に嫌気がさした人から支持を受けているので、今までの道を変えてくれると思いたいです。

 なんだか、同じことを言ってましたね。
 はい、おっしゃることに全面的に賛成です。
Posted by 眠り猫 at 2008年02月10日 14:18
>懐疑主義者さんへ
 丁寧な態度でしたので、迷ったのですが、「プロ市民」という、ネット右翼用語を使う方には来てほしくないので、削除してアクセス禁止にしました。あなたの質問については、自分で勉強しなさい。特に12条、13条のあたりを。意味がわからないなら、からかうような質問をするのはやめなさい。
Posted by 眠り猫 at 2008年02月10日 14:20
アメリカは、外交政策については、共和党だろうと民主党だろうと、国益になるかならないかが第一ですから、オバマ氏が選出されても「国益に関わる」というのであれば、戦争はしますよ。
イラクからの撤退は、イラクでの作戦が上手くいかないから。ただそれだけです。これは、マケイン氏が大統領に選出されても同じことです。

日米関係も、基本的には変化はないと思います。

ただ、国内政策は「チェンジ」しますから、その余波で日米関係に影響する場面は出てくるかも知れません。そのあたりは注意した方がいいかも、ですね。
Posted by wakuwaku_44 at 2008年02月10日 14:47
神州の泉さんは、かなりの小説家みたいな感じですね。(笑)

そこまでの事態に至る可能性は、極めて低いですよ。イラン問題についても、イラクとアフガンであの状態ですから、余力がありません。また、イランについては、ロシア・フランス・中国の反対もさることながら、日本とイギリスが非協力的態度ですから、まず無理でしょう。(日本なんて、フランスやロシアと手を組んでいますからね、イラン問題については。)

あと、アメリカが日本に本格参戦を要請する可能性も低いでしょう。これもアメリカの国益からみて、中国を刺激するのは得策ではありません。資金援助や後方支援、しかも、国連とコミットした形という「大義名分」がなければやらないでしょう。

日本は財政難で防衛費を削減しているどころか自衛官をリストラしているぐらいですから、「若者が自衛官に」というのも、正直ないでしょう。第一、「仕方がないから自衛隊」なんて若者は、自衛隊が『いらない』し『邪魔』でしかないですよ。武器が高度化しているため、やはり「優秀な人」が欲しいわけで、企業がいらん人は自衛隊もいらんのです。悲しいことに。
Posted by wakuwaku_44 at 2008年02月10日 14:57
オバマとクリントンの政策にはさほど違いはないと思います。国民皆保険は私が15年前にサンディエゴに滞在していた頃のクリントン政権の目玉で、責任者がヒラリーでした。アメリカとしては非常に革新的な政策だったので、連日テレビで大騒ぎしていましたが、翌年潰され、中間選挙で共和党が勝ってクリントン政権が保守化しました。

今回は、共和党支持層にすり寄ったヒラリーを、米国の新自由主義に疲弊した国民の支持をバックにしたオバマにつけ込まれたという図式で、中道にすり寄るクリントンと、よりリベラルなオバマのどちらがよりマケインに勝てる候補かは微妙です。

ただ、今朝のテレ朝で見たクリントンのブレーンの言葉が、妙に歯切れ悪かったし、アメリカ国民の「変化」を求める声は、予想外に大きな流れになろうとしているのではないかと思います。

オバマが勝てば、日本も下手にネオリベ・ネオコン政策を続けるわけにいかなくなりますし、今こそ日本のリベラルの出番だと思うのですが、動きが鈍くてじれったいです。
Posted by kojitaken at 2008年02月10日 18:45
ヘー、眠り猫さんはオバマ派ですか?
僕は断然ヒラリーに勝って欲しいですね。予備選でも、この秋の選挙でも。
何と言っても挫折を経験しているし、
私生活[ビルの浮気]でも、保険生導入でも、それに敵が多いってことは、好い事ですよ。大衆からも憎まれてもいるっていうのも、人物を巨大にする。
体格もどっしりしているし、
泣きもできるようになった。
オバマ氏はもう少し『こけたり』『ぶつかったり』した上で、成った方がもっと好い味が出るでしょう。まだ線が細すぎ、サラダボウル社会でイトコンヤクみたいに埋もれそうな気がします。
Posted by 三介 at 2008年02月10日 18:47
>kojitakenさん
 政策的にはおっしゃるとおりでしょうが(だから公開討論は非難合戦になる)、おっしゃるように、ヒラリー・クリントンは、保守化したビル・クリントン政権の跡を受けた、ネオコン、ネオリベの性格を持つと思います。
 オバマ氏はまだその政策の実態は不分明ながら、ワシントンDCのしがらみにとらわれていない新鮮さに魅力を感じます。
 期待するのは、内政重視に変わり、財政赤字の中で、軍拡をやめて、日米同盟推進が止まることです。
Posted by 眠り猫 at 2008年02月11日 05:02
>三介さん
 確かに、オバマ氏は、上院議員1期、年齢も46歳と若く、経験の不足を指摘されています。
 それが裏目に出る可能性も確かにあります。
 クリントン氏はそこに目をつけて、自らの「経験」を訴えてきたのでしょう。
 ただ、消去法になりますが、上記の多くのコメントにこたえてきたように、クリントン氏は、その経歴ゆえに、ワシントンに巣食う、ネオコン、ネオリベの推進者たちから自由ではありません。
 オバマ氏にはそれがない。
 当選すると、それらの勢力からの勧誘や恫喝など、いろいろあると思うので、本当にチェンジしてくれるのかは未知数ですが、可能性に期待しているのです。
Posted by 眠り猫 at 2008年02月11日 05:06
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