すでに多くの場で批判、というより嘲笑の対象となっている曽野綾子についてだが。
以下の記事は、曽野綾子(一応小説家だった。今は自民党の三百代言が主たる職業。上坂冬子とともに、自分では現地に行ったことも、歴史学者でもないのに、南京虐殺や沖縄戦自決強要事件は無かったと主張する歴史改ざん主義者の急先鋒。)が、産経新聞系列の雑誌「正論」に、今年1月9日に掲載した文章の一部だ。
全文→http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/114334
(以下引用)
「食べるもの、寝る所、水道、清潔なトイレ、安全正確な輸送機関、職業があること、困った時相談する場所、ただで本が読める図書館、健康保険、重症であれば意識がなくても手持ちの金が一円もなくてもとにかく医療機関に運んでくれる救急車、電車やバスの高齢者パス。
何よりも日常生活の中に爆発音がしない。それだけでも天国と感じている。これが足し算型の人生の実感だ。これだけよくできた社会に生まれた幸運を感謝しないのは不思議だと思う。
しかし人間は、教育し鍛えられなければ、このように思えない。子供は幼い時から悲しみと辛さに耐えるしつけが必要だ。平等は願わしいものだが、現実として社会はまず平等であり得ない。しかし不平等な才能があちこちで開花している。それなのに完全な平等しか評価しない人間の欲求は、深く心を蝕(むしば)む。
叱(しか)る先生は父兄に文句を言われるから「生徒さま方をお預かりする営業的塾の教師」のようなことなかれ主義になった。何か事件があると、マスコミは校長や教師を非難するが、子供の成長に誰よりも大きな責任を有するのは、他ならぬ親と本人なのである。生活を別にしている教師など、子供の生活のほんの一部を見ているに過ぎない。」
(引用終わり)
全部で3つの節からなる文章の、第2節を全文引用した。
この部分の前段は、今の日本人はぜいたくでわがまますぎるという趣旨の言葉だろう。彼女にとって、平均的な生活とは、銃弾が飛び交い、家もなく、食もままならず、医療にも恵まれない社会が平常で、それ以上を要求するのは、わがままだと言いたいらしい。
だから、後段で、教育やしつけの話になる。教育現場のことも知らないその内容は別として、要するに、ワーキングプアが数百万人、ネットカフェ難民が20万人と言われる、今の厳しい時代も、「甘えないで我慢しろ。幼い時から悲しみと辛さに耐えるしつけられていないからいけない」という論旨だと受け止められる。
曽野綾子の言い分なら、先の米軍海兵隊員による少女暴行事件も、やはり、「世の中は危険に満ちているので、それは、自分で身を守らない小娘のしつけがなってない」、ということになるのだろう。事件直後の産経新聞の花岡論説委員の意見とほぼ合致する。花岡氏が真似たのではないかと思う。
曽野綾子は、昔から政府自民党の御用達として、さまざまな保守論壇で、自民党擁護、自民党批判への言いがかりを続けてきた女性で、その功績で、夫の三浦朱門は文化庁長官にならせてもらったり、自分自身は、右翼のドン・笹川良一の死後、日本船舶振興会の理事長に就任した。どちらも、その地位でこれといった業績を上げたわけでは無い。大体、日本船舶振興会は、競艇というバクチの胴元である。そんな人間が、何をしつけや教育論をほざくか。
沖縄における、集団自決強要問題に関して、元軍人梅沢裕氏(元座間味島の第1戦隊長・元少佐)と赤松秀一氏(元渡嘉敷島の第3 戦隊長で元大尉であった赤松嘉次の弟) が、ノーベル賞作家(曽野綾子とは格が違う)の大江健三郎氏の著作「沖縄ノート」の内容を、名誉棄損などで訴えた裁判のきっかけを作ったのは、曽野綾子の「誤字、誤読」(「巨塊」を「巨魁」に読み間違えた)に始まる、大江氏批判が直接のきっかけになっている。
(参考:http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071118/p1)
そもそも大江氏の文章を読み違えるという、故意ならば悪質、たまたまなら、作家としての能力を疑われる発言をしたもので、そろそろ年齢が脳に影響を及ぼしているのではないかと思うほどだ。
この訴訟は、先日、大江健三郎氏自身の証人尋問が行われ、反対尋問などから、原告は曽野綾子の虚言を信じ込んで訴訟に及んだことがほぼ立証されたと言え、大江氏勝訴は間違いのないところである。曽野綾子はそれ以降、姿を見せないそうだ(文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記』から情報をいただきました。)。
彼女自身が、上記の彼女の文章のように、銃弾が飛び交い、家もなく、食もままならず、医療にも恵まれない生活を耐え忍んで生きてきて、その上で才能を開花させて、作家なり、政府御用達文筆家まで出世したと言うなら、まだ少しは説得力があるかもしれない。
しかし、1931年(昭和6年)生まれで、幼稚園からエスカレーターで聖心女学院出身の彼女がそのような生活にあったとは、考えられない。むしろ当時の平均的な日本人から比べればはるかに恵まれた生活をしてきたはずである。それなのに、虚言吐き散らして、自民党にへつらうことしきりである。
要するに、今の時代に彼女がこんなことを言うのは、「コイズミ構造カイカクの犠牲になって、職を失ったり、貧しくなったり、生きるのに苦痛を感じるようになっている人々は、しつけがなってなかったので、我慢が足りないのだ。」ということらしい。
政府におもねるにしても、あまりにも共感を得られない発言と言うしかない。正直彼女は隠れ左翼で、このような発言をして、民衆の怒りを爆発させようという「左翼の工作員」の可能性すら考えられる(笑)。
今の日本の右派、保守論壇のレベルとはこのようなものなのだ。イデオロギー闘争が過去のものとなった(そう思っていないのは無知とネット右翼だけ)現在、彼らは、自民党の自己中心的で、国民のことを考えない、利権まみれの政治を擁護するためには、この程度の愚昧かつ共感の得られない論を述べることしかできなくなっているのである。
これは、保守言論の限界というだけでなく、さすがの恥知らずで鉄面皮の彼らでも、自民党政治を褒めることができなくなったという証拠である。それほど今の自民党政治はひどいのである。
私たちは、保守論壇や陣笠右翼(正統な民族派右翼とは違う。正当な民族派右翼なら、同胞の少女を他国軍の兵士に傷つけられて、怒りこそすれ、少女を非難したりしない。)などの虚言など無視して、正当な生存権に基づく、生活改善の政治を求めていこう。そのために、自民党を下野させ、完膚なきまでにその利権構造を破壊しよう。
次の衆議院選挙で、少なくとも自民党と公明党には投票しないという「常識」が今こそ求められる。
(ランキング応援よろしくお願いします。)

ミニーさんのかわゆい「シッポ?」さえモ見えてきましたがな。
まあ、でも、曽野・大江論争は、「外野」的で、どっちもあまり評価してませんけどね。山崎さんの「毒蛇」に出てくる「誤読」問題も、表層的で。
内戦的な[現場の板ばさみ]の苦悩こそを、論じるべきなのに、どちらも避けているっていう点で。
幕末期の軍資金となった薩摩藩の琉球砂糖ミツ貿易とは何だったのか?
台湾統治の実態は他の植民地と比してどうだったのか?
近代史全般の洗い直しの上で、戦後長らく米軍統治下にあって、返還後も基地の島として米軍が居座ること、沖縄の今後の発展を内地からどういう形で、応援できるか、米軍兵士の犯罪をナショナリスティックに追及するだけでは済ませられない、中央と地方の『利権争い』のグニャグニャした部分を、ひっくるめた反軍拡論争がやはり必要でしょう。日米という2国間問題から、さらには国際的な軍の犯罪を裁く制度構築へ。保守の人とも大いに議論しましょうよ。
いつも刺激的なコメントありがとうございます。
まぁ、曽野綾子に話を持っていった時点で、すでに2流の話題なのは自覚しています。
沖縄のことですが、先日、コメント欄で紹介いただいた記事には、日本が攻撃されることはない。
しかし、台湾有事の際、沖縄は米軍にとって貴重な出撃拠点となる一方、その戦力を警戒する中国に先制核攻撃される可能性があるという意見がありました。
まぁ、台湾有事については異論があるものの、もしその説のとおりとするならば、まさに沖縄にとって米軍基地は不要どころか危険なものだということになります。
三介さんのおっしゃるような議論をするには、日替わりでテーマを変えている、今のブログの形体では無理で、往復書簡的なもので議論するのが望ましいでしょうね。
曽野さんや上坂世代は、私の親世代で、
あのヘンは、終戦前後にティーンエイジャーです。
チョッと鋭くて真面目な人は、皆軍国少女になっていたと思われます。
(非国民の嵐の中で、ヒタスラ国家に忠実であれと・・
だからこそ教育の恐ろしさがあるんですよね?)
ウチの母のように、農家の末っ子で、
ひたすら家の手伝いをするだけで?
思想的背景を持っていなかった者は、
親の言うがままで、成長してきたと勝手に推測します。
(それでも、後になって、学習できたはずなのですが、
曽野さんは、権力の旨みを知ってしまったのでしょうね^^;)
ですから、この辺の世代には、圧倒的に自民支持者や、
(かつ、曽野さんのような説を唱える・・昔は大変だった派)
戦後60年以上経っても、朝鮮蔑視感のある人々が多いのだと思います。
ただ、そのような背景の無い若者達(20〜30代)の一部が、
わりと、彼女達と似たような思想を持つのが不可解です。
ご説の、「世代論」は、私も支持するものです。その時代の教育を背景に、それを未だに引きずる世代がいるわけです。
ですから、石原慎太郎も、同世代ですよね。彼らは、無条件に国家は正しいとして、国家を批判する者は悪と根拠なしに断罪します。そのために自分が悪い手段を使っても問題なしとする傲慢さは、まさに戦争中の大日本帝国の論理そのものです。
実は私の両親の世代もほぼ同じなのです。
しかし、母は、まさに曽野綾子が言うような、悲惨な戦後生活をくぐりぬけてきましたので、戦争国家に懐疑的です。父は、戦後すぐまでは自分も軍国少年だったと述懐します。しかしその後教員になり、民主教育の洗礼を受けて、私みたいな人間を育てる親になりました。
今の2、30代に多いと言っても、それは、たまたま目立つだけです。
基本に、曽野綾子らの確信犯的右翼がいて、それを人数は極小なのに、声だけはでかい、ネット右翼がサルまねをして広げる。
そして、たまたまサッカーで中国の人が日の丸を燃やしたりしたのを見たら、ネットで、ネット右翼の発言を見て、同調する。
まぁその程度のもので、政権や時代が変われば、またがらりと変わりますよ。
ではでは。
今日の事件で、若い兵隊の門限を設定し、
門限時刻をすぎたものは基地内に入れないと言う。
そのために、不法侵入をし犯罪を犯す。
こんなことがあってはならん事は言うまでもない。
日本政府ばかりか、日米安保に賛成する人達は全て、
加害者として処刑するべきだ。
ちょっと、赤嶺氏の言葉をもじったのでした。