昨日の報道では、また沖縄で、キャンプ・シュワブの海兵隊員が、酒に酔って民家に不法侵入するという事件があった。
一説では、先の女子中学生暴行事件で、基地のゲートの門限が厳しくなり、時間に遅れて中に入れなかった海兵隊員が、民家に侵入して寝込んでいたらしい。他にも飲酒運転で逮捕された海兵隊員もいるという。
先の事件があった直後に、立て続けに起きた逮捕事件に、さすがの自民党も、「海兵隊はたるんでいるのではないか」などと苦言を呈し始めた。福田首相は、他人事のように、「どうなっちゃったんでしょうね」と言って、不快感を表したそうだ。
しかし、その根源には、基地の存在と、そこに駐留する米兵に事実上の治外法権を認める、「日米地位協定」の存在が、海兵隊員たちに「罰せられない」という安心感を与え、乱行に及ぶということがあるのではないか?
昨日の毎日新聞に載った論説記事「欧州から見た米兵事件」では、
(http://www.mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20080218k0000m070113000c.html)
ヨーロッパに駐屯、または派遣された米軍基地の米兵たちに、そのようなことは無く、日本のような事件は考えられないと述べられている。
何が欧州と日本で違うというのだろうか?
客観的に見て2つの違いがある。ひとつは、欧州に駐屯する米軍は、海兵隊では無いということだ。海兵隊は海外派兵用の部隊で、アメリカには3つの軍団があるが、そのうちの第3軍団が沖縄と岩国に、他の2軍団は、アメリカ本国にいる。つまり欧州の米兵は、通常の陸軍、空軍であり、前線戦闘を専門とする海兵隊では無いという違いがある。
しかし、陸軍か海兵隊かで、そんなに素行に違いがあるのだろうか?確かに海兵隊は、「切り込み部隊」として、対人戦闘を含めた、リアルな戦闘訓練を受けているらしい。しかしそれが違いとは思いにくい。ある噂では、沖縄に送られてくる海兵隊員は本国で鼻つまみ者になった不良が多いというのがあったが、私は信じない。実際に最前線に送られる精強な部隊にそんなことをする国は無いだろう。
また、日本では、横須賀の海軍の兵による殺人事件も起きており、「海兵隊だから」というのは理由にならないと思う。
もう一つの違いは、「日米地位協定」の存在だろう。調べていなくて申し訳ないが、欧州の駐留米軍は、駐留先の国とそのような協定を結んでいるとは聞かない。第二次世界大戦の敗者であった、ドイツは分からないが、他の同盟国であるイギリスなどに駐留する米軍にはそんなものは必要では無いだろう。治外法権を許す同盟国などありえない。
以上のことから考えるに、やはり、諸悪の根源は「日米地位協定」の存在であると私は思う。運用改善で、現行犯なら日本の警察が逮捕できるということにはなったものの、依然、基地に逃げ込めば、日本の警察に引き渡されることは無く、また、警察が逮捕しても、要請があれば、日本側は否応なしに身柄を引き渡さねばならないのが現状である。
いや、「諸悪の根源は、米軍基地の存在そのものだろう」、という意見は十分に承知している。しかし、今すぐに手をつけられる改善策は、やはり不平等条約にも等しい「日米地位協定」の廃止から取り組むべきだろう。
なぜ、政府自民党は、首相が不快感をあらわにしていると言うのに、「日米地位協定」の廃止、せめて改定への交渉に踏み出さないのだろう。納得できる理由はいくら考えても見当たらない。
他国には無くて、それで米兵の行動が模範的であるというのならば、日本にも無くてすむのでは無いか?もちろん、この協定に書かれていることは、米兵の犯罪時の取り扱いだけでは無いので、いきなり「廃止」は難しくとも、現在の治外法権状態の撤廃は、ただちに申し入れない方がおかしいし、アメリカもそこに固執する理由はほとんど無いと思う。
かえって、アメリカにとって、この「日米地位協定」により、日本に駐留する米兵の素行に問題が生じ、それが、反米、反基地感情につながるくらいなら、不良米兵の取り扱いを厳格にする方向での改定に応じると思うのだが。
それなのに、なぜ、政府自民党は、この治外法権状態の撤廃をアメリカに求めないのか理解に苦しむ。交渉を始めてこそ、物事は進展するはずで、治外法権状態という、主権国家としての尊厳を損なうような協定を、沖縄返還以降もずっと続けさせているのは一体なぜだろう?
アメリカ人が全て悪人ではないし、日本に平和憲法をもたらしたのもアメリカである(その起草に日本人が深くかかわっていたとしても)。ならば、理をもって訴えれば、アメリカも応じるはずではないか?
ここに、天木直人氏がしばしば言う、「日本には外交がない」ということの意味が透けて見えるような気がする。
理屈や、政策でもなく、日本の自民党政府には、アメリカに対して何かものを言う能力が全く欠如しているのである。媚米外交のツケが、日本から外交力を奪い、特にアメリカに対しては、正論すら述べることができなくなっているのである。自民党政府はCIAに弱みでも握られているのでは無いかと、半ば以上本気で考えてしまう。
日本政府は、ただちに日米地位協定の破棄、または治外法権状態に関する部分の撤廃をアメリカに求めるべきである。そうしないなら、しない理由を国民に納得できるように説明しなければならない。それが政権党の義務というものだろう。
私はここでは、安保破棄も、米軍基地撤去も求めていない。他のアメリカの同盟国には無い状態を改善するために、当然の対処をするように求めているだけである。「日米同盟は外交の基軸」と主張する自民党なら、その関係を阻害している、地位協定の廃止、または改定を求めるのは当然と考える。
この記事は自民党に送付した。たぶん答えは返ってこないと思うが、何らかの反応があれば、また報告したい。
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