昨日に続いて、イージス艦「あたご」による、漁船との衝突事件について。
今回のイージス艦による漁船との衝突事故では、防衛省の公式発表では、衝突直前に漁船を視認した「あたご」が、回避のために、全速後進をかけ、漁船も右に舵を切り、衝突を回避しようとしたが、減速が間に合わず衝突したと言っている。
しかし、被災した「清徳丸」の僚船の船長は、「自衛艦はまっすぐ直進してきた。回避した様子は認められない」と証言している。
(http://mainichi.jp/select/jiken/atagocollision/news/20080220k0000m040130000c.html)
この事件と同様に、自衛艦(潜水艦だが)が、民間の小型船に衝突して、多数の犠牲者を出した事件に、1988年の「なだしお事件」がある。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AA%E3%81%A0%E3%81%97%E3%81%8A%E4%BA%8B%E4%BB%B6)
もし、この目撃者の証言が本当だとしたら、気づくのが全く遅かったのか、または、法の回避義務を無視して、民間船の側が避けるだろうと考えて、直進した可能性がある。
気づくのが遅かったとすれば、最新の護衛艦として、何と言う怠慢さだろう。また、昼間に起きた「なだしお事件」のときに言われたこととして、「自衛艦は、そこのけそこのけという感じで強引に直進してくる」と言う証言もあった。とすると、すべての自衛艦では無いにしても、そこに、「おれたちは国を守ってやっている軍隊だ」というおごりがある可能性がある。そんなことがあってはならないのだが。
万が一、そんな意識があって、法の回避義務を無視して、「相手が避けるだろう」と考えていたなら、言語道断である。しかし、そんな意識が少しでもあったとすれば、それは、アメリカ海兵隊の度重なる不祥事と同じような、民間人を見下した、自分たちは、国を守ってやっているんだから、多少のことはがたがた言うな、という、不遜な考えがあるのでは無いか。
この点の事実が公になることは決してないであろうが、米兵の度重なる違法行為と、最新の護衛艦が、漁船と衝突するという信じがたい不祥事には、共通して、「守ってやっている、という傲慢さ」があったのかもしれない。
なだしお事件でも、今回の衝突事件でも、共通して、自衛艦が回避義務があるにも関わらず直進したという証言がある以上、上記のような疑いが掛けられても、仕方がない。違うと言うのならば、それに反証すべきだろう。
今回の事故では、不幸にも一方の当事者である「清徳丸」の乗組員2人は。、依然行方不明である。被害者の側からの証言は聞くことができない。
ならば、「あたご」の側は、正直にすべてを明らかにし、実際に回避行動をとったかどうかを示す航海記録や、乗組員の証言などを海難審判の場で提出するべきである。そこに、「国防上の機密」などという言い訳はなしにしてもらいたい。
また、以前にも紹介したように、産経新聞は、「日昇丸事件」のときに、「アメリカのミサイル原潜は国を守ってくれているのだから、2人死んだくらいで・・・」という社説を載せたと書いたが、最近の沖縄での少女暴行事件でも、被害者が悪いという主張を、やはり保守系の新潮社の出版物とともに繰り返している。
今回の件でも、同様に、「自衛隊を批判するのは間違っている」というような主張を始めることは容易に想像がつく。
国民は、軍事利権にまみれた自民党に盲従する、右派論壇の産経、新潮系列の言うことは、相当割り引くべきであることは言うまでもない。ましてや、その言葉をうのみにして、真の愛国者とは思えぬ妄言を弄する、ネット右翼どもの発言など無視するべきである。
真の愛国者なら、国民の生命を奪ったことに対して怒るのが普通である。「国」とは、軍隊ではなく、最低でも、国民とその財物、国土を意味するものなのだから。
少なくとも見張りを怠っていたらしい、またレーダーに映っていたかどうかなど、「あたご」の側が、正直に事情聴取、記録の提出に応じてこそ、国を守る軍隊として、国民から信頼されるのである。それを怠ってはならない。
国を守るべき軍隊が、国民を殺傷した。この事実から目をそむけてはならないのである、その原因に、驕りの意識がなかったかどうかを、追究していくべきなのである。
今回、被害者の生存は絶望的だが、一刻も早く発見されることを願ってやまない。
PS 船舶関係者の方、漁業関係者の方で、上記のような自衛艦の行動を目撃された方は、コメント欄にご一報ください。
(追記)今朝の産経新聞の論説。
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080220/trd0802200308000-n1.htm
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今回の事故についてですが、私は自衛隊内部はあの「なだしお」事故の時より悪くなっているのではないか、という気がしています。あの時は昼だったとはいえ、防衛庁長官(今は防衛大臣ですが)に連絡が行くまで1時間、総理に連絡が行くまでさらに1時間、などという事はなかった様に記憶しています。これはつまり、自衛隊はあの時よりさらに悪くなっているという事ではないでしょうか。そこで思うのが、今回の事故の根本には自衛隊の「傲慢」というよりも「無気力」「あきらめ」があるのではないか、という事です。この前の眠り猫様の記事で「イージス間の装備は日本のための物ではなく、米国のための物だ。」というくだりがありましたが、それの事を最も良く分かっているのは当の乗組員ではないでしょうか。自衛隊は本当は日本のためではなく、米国のためにある、という事については確かに以前からそうだったかもしれませんが、ここ最近政府与党はその事を隠さなくなったように思います。「所詮自分たちは米軍の下請けでしかない」という意識が、今自衛隊の中に広がっているのではないかと思います。それは「真実を知った」という事でもありますが、その「真実」が自衛隊の士気低下をもたらしているのではないかと思うのです。
また、同様の事は米軍でもいえるのではないかと思います。米軍もここ最近士気の低下が著しいといいます。ブッシュ政権がなんと言おうとも米国のイラク攻撃は「侵略」である事は当の米軍には分かっている。そしてその事が米軍の士気低下、無気力化をもたらしていて、それが犯罪や不祥事の多発の根本にもつながっている、という事なのではないかと思います。もちろん事故や犯罪の当事者は批判されるべきですが、その原因を作っているのは他でもない両国政府なのではないでしょうか(その割にはまるで他人事のようなコメントが多すぎますが。特に日本政府に)。
お話のようなことはあるかもしれません。
自衛隊に関しては、身近に自衛官がいないので何ともわかりませんが、おっしゃるようなご指摘は考えられます。特に、今回の「あたご」は、ハワイ沖で訓練をしてきたばかり。イージス艦の管制と、行動の指示は、米軍から英語で行われたはずです。
乗組員の全員が英語を解するわけではないでしょう。兵員たちにとっては、外国の軍隊に上官が命令されて、そのまた命令を受けるというのは、屈辱的かもしれません。
最新鋭艦の乗組員に選ばれた精鋭なら猶更でしょう。
それと、自衛隊員たちの気持ちを無視して進められる、海外派兵の話。政治家は自衛隊員の命で、自分たちのメンツを買おうとしているのですから、熱血軍国青年でない限り、不満を感じるのは当然です。
米軍に関しては、まさに、イラク戦争のPTSDの可能性も否定はできないでしょう。そこら辺、今回の連続する事件の犯人の経歴を調べてくれるマスコミは無いのですかね?
どちらにしても、自分の命を、政治家のメンツや利権のために左右されるというのは、知れば知るほど、嫌になるでしょうね。
あと、福田首相の、「どうしちゃったんでしょうねぇ」という、他人ごとのような発言は私は許せませんね。
では。
それに日本国民の中に「日本も戦争出来る国にならなきゃ」など叫ぶ人がいますが「戦場には自分は行く必要はない。自衛隊が行けばいい」「自衛隊員はいつでも命を捨てる覚悟があるから」と平気で言い放ちます。
自分の国の事なのに知ろうとしない。他人事で危機感の薄い国民側にも問題があると思います。もちろん事故にあわれた方の事を言っているのではありません。
無能、無責任政府にもっと危機感持つべきだと思いますし、怒るべきではないでしょうか。
・http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4127&mode=0&classId=1&blockId=543710&newsMode=article
・http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20080220az
漁船と不審船を同列に扱うのもおかしいし、
「沈んだのが漁船でよかった」ともなりかねません。
上の「もちろん、大半の自衛隊員は職務に忠実に取り組んでいる。」は
もう聞き飽きました。
「それでもなぜ過ちは繰り返されるのか」を問うべき。