在日米軍はアメリカのアジア戦略のためにいるのであって、日本を守る装備は持っていないこと、自衛隊の装備もまた、アメリカ軍補完のためのものであり、日本の国防に役立つものは少ないことなどは、これまでに繰り返し述べてきた。
しかし、私は、ただちに非武装を唱えるものでは無い。まず国民の合意が得られないだろう。
「丸腰は不安だ」という人は多いと思う。私も最新のセキュリティ装置付きのマンションに住みながら、身を守るための木刀を部屋の片隅に置いてある。それと同じような心理は確かにあるだろう。
私は、軍事力=国の威信と考える、思考が戦前のまま停止している保守派やネット右翼とは違い、軍事力とは、19世紀のプロイセンの将軍、クラウゼヴィッツが看破していたように、外交の一手段に過ぎないと考えている。
さらに、憲法9条で戦争放棄と軍事力の不保持を定めており、また、外交上の問題を軍事力で解決しないことも定められている以上、日本の国防は、「専守防衛」に限られると考えるべきだし、国民もアジアの諸国もそれで十分だと考えていると思う。自衛隊も違憲だと言うのは事実だが、そこは将来の改憲議論で。
最近の「日米(軍事)同盟」論は、それを大きく逸脱し、海外でのアメリカの戦争に、日本軍を派遣することを真の目的にしている。明らかに憲法違反である。また、それを口実に日米双方で軍事利権を漁る政治家たちがミサイル防衛などの軍拡を推進しているのは一目瞭然である。彼らが私腹を肥やすための方便としている論法に、国民が乗せられる必要は全くない。むしろ税金の無駄遣いとして反対していくべきだ。「ミサイルより明日の飯だ」と。
実際に、軍備を持ち、アメリカとの付き合いで、アフガニスタンやイラクに出兵した、ヨーロッパや、カナダ、オーストラリアの各国では、数年前からその政策への反省が行われている。
細かく言うと、スペインは、国内でテロが起き、派兵することで自国の安全が損なわれると判断し、いち早くイラクから撤兵した。イタリアのベルルスコーニ政権と、イギリスのブレア政権は、イラクでの被害の大きさに国民の不満が高まり、政権自体が崩壊した。オーストラリアでも同様に、派兵支持の保守党政権は、首相自身が選挙で落選するという事態で、新政権はイラクからの撤兵を決めている。カナダでは、アフガニスタンでの活動で多数の戦死者が出ていることへの厭戦気分が国民を支配し、政権の行方が注目されている。ドイツでもアフガニスタンへの追加派兵には慎重論が出ている。
このような情勢の中で、ヨーロッパ各国が日本に派兵を求めるようなことを言っているのは、自分たちの代わりを務めてほしいからに過ぎない。また、アメリカが「日米(軍事)同盟」を強調するようになったのも、ヨーロッパ各国の離反を止めることができず、その分を、媚米外交に終始する日本政府に押し付けて、アメリカ軍の先兵として、日本の自衛隊を使おうという意図が丸見えである。そこに、日米の軍事利権を漁る政官の思惑が絡み、法的根拠が全くない「日米(軍事)同盟」が、憲法をないがしろにして、進められようとしているのである。
憲法に関する世論調査でも、憲法の平和主義は変えるべきではないという意見が、8割を占めている。国民は、海外派兵など本当は望んではいないのである。一方で国防ならば、ある程度の軍備は必要だという考えの国民も多い。
ならば、日本が取るべき道は、利権屋の推進する、「日米(軍事)同盟」への傾斜ではなく、真の国防を考えての、専守防衛に徹した、新しい自衛隊の構築にあると言うべきである。
そこには、敵地奥深くまで侵攻するための高価な戦闘機・F-15イーグルも、アメリカの空母機動部隊を護衛するための護衛艦・イージス艦も要らない。「専守防衛」の思想をもっと深めて、それに必要な国防のための軍備を考えるべきだろう。
ここで、核保有論に飛躍するのが、保守派の常であるが、日本が専守防衛国家であると国際的に認知され、アメリカの基地がなくなれば、日本を核攻撃する国など無い。核抑止力論は冷戦崩壊前にすでに破たんしている。これもまた30年は時代遅れな理屈であると言いたい。
前回の記事では、専守防衛のための軍備について簡単に述べたが、あれが正答だとは私も思っていない。
そこは今後、利権屋を排除した上で、軍事専門家に考えてもらうしかない。憲法と国民の多数の意志の制約のもとで。
レイシズム(他民族蔑視)に終始した上で、その他民族から攻撃されることを恐れる「ゼノフォビア」(他民族恐怖)に捉われている、ネット右翼たち以外は、日本が本当に中国と戦争する必要があると思っている人などほとんどいない。経済関係がここまで緊密になった日中関係で、戦争が起きるはずもないのである。
私は、本来は日本が、すべての国とそのような関係を構築し、軍備など必要無くなるのが理想だが、それまでは、丸腰は不安だという国民のために、安心料として、専守防衛の装備を持つことを容認する。軍事利権政治家・官僚を排し、純粋に国防を考える必要がある。いたずらな軍拡競争に巻き込まれることこそ、愚の骨頂である。
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