ミクロネシア連邦は、長年、アメリカの信託統治領でしたが、20年前に独立し、国連にも加盟しています。しかし、人口は、10万人余りにすぎず、独自の文化で自給自足できるとは言え、それ以外の収入源は、ほとんどが200海里経済水域圏の操業料収入とアメリカからの援助に頼っている状況です。
クリントン政権時代、アメリカはミクロネシアに設置していた基地をすべて撤収しました。しかし、その後もアメリカからの手厚い援助が続き、たとえば4年前の台風の被害に対しては、ある島では、島民1人あたり50万円近くに達する(現地の経済からすればとんでもない金額)援助が、おとされました。
アメリカ本土のニューオールリンズのハリケーン、カトリーナの被害は、被災後3年がたっても、半分も復興していないのに、なぜ、ミクロネシアには、金を落とすのか?
そこには、沖縄からの海兵隊グァム移転と同様の意図が隠されているように思います。
つまり、平時は、アメリカ軍は、太平洋方面ではハワイとグァムに兵力を集中させておき、必要な時(戦争のとき)に、そこから、各地へ一気に展開するのです。
そのためにミクロネシアには手厚い金銭援助で、アメリカへの依存度を高めておき、また、沖縄には、海兵隊が移転するにも関わらず、キャンプ・シュワブの新基地や、高江のヘリバッドなど、有事に足掛かりとなる基地の建設が進められているのでしょう。
また、グァムの空港では、巨大な、しかし、パイロット室以外の窓が一切無い、不思議なアメリカ空軍の飛行機を見かけました。輸送機では無いでしょう。何かの電子戦偵察機だと思います。
アメリカ潜水艦隊の基地として知られるグァムですが、空軍も最前線として利用していることがわかりました。
旅行中に読んだ本では、アメリカの軍事的膨張主義と、金至上の新自由主義の弊害について、アメリカがこれまで行ってきた暴虐の数々と、今現在、アメリカで新自由主義の犠牲となって、極貧層にまで転落した人々が、職と教育への支援を求めて、軍に入隊し、即座にイラクに送られ、PTSD(心的外傷後障害)や、麻薬中毒になる様子が描かれていましたが、それらの本に関する書評や感想は、また後日。
ただ、現地でも感じたのは、アメリカは、非常に傲慢で、自らの利益のために、他国の事情は考えずに行動する、暴力的な国家だということがうすうす感じました。
また、これは人種差別の結果なのでしょうが、アメリカ人観光客に、黒人は1人もいませんでした。経済的事情が根底にあるのでしょう。
つまり、「アメリカ」というより、そこを長年支配してきた、WASP(ホワイト、アングロサクソン、プロテスタント)出身の一部のエリート層による、富の収奪がほぼ極限まで達していること。そして、それが行き過ぎて、アメリカ自体が内部からきしみ始めていること。それが、読んだ本からよくわかりました。
今のアメリカ大統領予備選での、オバマ候補の躍進ぶりは、WASPの支配のもとで、急速に貧困化が進む、多くの人々からの、「戦争屋」ブッシュへの猛烈な反感が基になっているのかもしれません。
あと、気になったのはジャンクフードです。とにかく、現地の人々の肥満は多く、そしてスーパーの店先に並んでいるのは、炭水化物と脂肪の塊で、味の濃いジャンクフードのオンパレードでした。
これも、大手の食品会社が、リサーチの結果、最も売れると考えた、安くて嗜好を満足させる食品を売っているからで、健康には有害極まりないものばかりでした。
金至上主義と、戦争が国策の柱となっている、アメリカの顔が、ほんの少しだけ垣間見えた旅行でした。
そして、そのアメリカに、無定見に追従した小泉政権下で、日本でもまた、格差の拡大と軍事への傾斜が始まっているように思います。安倍政権はそれを進めようとして、安倍の無能さで挫折したのは、日本にとって幸運だったと思います。
しかし、すでに行われた規制緩和や民営化には、アメリカからの資本が大量に流入し、日本の企業の多くはアメリカ企業の傘下に入りました。
そして、アメリカはこれまで、自らの国の資本と人員が投入された国で、それらが国営化などに事態にひんすると、軍事的介入やCIAによる策謀で、その政権の転覆を行ってきたのは、読んだ本で知りました。日本も、いつその危機にさらされるかわからないのです。
日本の国民は収奪され、富はアメリカの富裕層に吸収され、もし、反発して左翼政権ができようものなら、在日アメリカ軍は、日本を守るどころか、日本に向かって牙をむく可能性すらあるのです。
読んでいて、恐怖を感じました。
しかし、今、アメリカ自身が、新自由主義と戦争政策のために、財政的にも、国民生活の上でも危機にひんしていることもわかりました。
それらの事実をしっかりと考えた上で、日本の進むべき道を考えねばならないと思いました。
今、言えることは、アメリカのWASPに相当する、2代目、3代目議員が中心を占める、自民党の長期独裁政権は、もう終わらせねばならない時が来ているということです。古い自民党(土建利権体質)も、新しい自民党(新自由主義)も、もはや時代遅れだということを認識し、国民の幸福を第一に考えた政治へと切り替えるべき時が来ていると思います。
PS.旅の前、ウヨウヨ君たちに宿題として出した、イラク戦争の最盛期のみに、イージス艦がインド洋に派遣された理由について、回答は何一つありませんでした。馬鹿は黙っていてほしいものですが、今回はさすがにレベルが高すぎた設問だったようです。

http://suyap.exblog.jp/6539128/
http://suyap.exblog.jp/6581892/
や、
http://www.yashinomi.to/zatsu/rep_0312/1.pdf
(ヤップの現状については間違いが多いですが、資料としてあげている文献は信頼できます)を参照ください。
またミクロネシア連邦の外貨収入源は200海里水域での操業料だと思います。観光収入は微々たるものです。そして台風被害に関してFEMAの援助が問題なのは、単位人口あたりの援助額ではなくて、ほんとうに必要なところに金がフェアに行かないことです。上記のように単位人口で割られても、他の人には問題の核心が見えません。FEMAのシステムについても勉強されたほうが良いでしょう。
アメリカがミクロネシア地域を押さえていた理由は冷戦の継続にあります。既に冷戦構造がつぶれ、次のテロリズム構造も変質しつつある現在、この地をコンパクトで押さえておくのはアメリカ自身にも負担になっています。上記の米海兵隊グアム移駐と沖縄の基地化進行との結びつきの記述も、勘違いが多いように思います。
これを機会に、太平洋全体から見たアメリカのパワーポリティクスを、これらの地域の歴史(少なくとも19世紀あたりまでさかのぼって)から見直していただければ幸いです。
間違いの指摘ありがとうございます。修正しておきます。
アメリカの太平洋における19世紀以降のパワーポリティクスについては、今読んでいるところですが、ハワイとフィリピンが中心で、ミクロネシアについての言及はありません。
沖縄への基地集約と、ミクロネシアの件は、私の直感にすぎませんが、かつてアメリカは既得権益を手放した例はなく、その意味で、ミクロネシアからの移駐、沖縄からのグァム移転は同一の戦略上にあるものと推測しています。
冷戦時代の遺物とのことですが、今、アメリカでは中国を仮想敵とした、反共イデオロギーが再び復活しつつあります。地政学的に、ミクロネシアは対中国への防衛ラインとして、依然重要と考えているのではないでしょうか?
眠り猫さんwrote:
クリントン政権時代、アメリカはミクロネシアに設置していた基地をすべて撤収しました。しかし、その後もアメリカからの手厚い援助が続き、
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クリントンは大統領になったときに大軍縮を行いました。ミクロネシア連邦から米軍を撤収したのも、その一環です。なお「ミクロネシア」のことを扱うときには、「地域としてのミクロネシア」(国としては北マリアナ諸島、グアム、パラオ共和国、マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、キリバス共和国、ナウル共和国などが含まれます)なのか、「国としてのミクロネシア連邦」なのか、はっきり定義する必要があることを指摘しておきたいと思います。あるいは「米信託統治領としてのミクロネシア」というカテゴリーもあります(すなわち、北マリアナ諸島、パラオ共和国、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国が含まれます)。
眠り猫さんwrote:
たとえば4年前の台風の被害に対しては、ある島では、島民1人あたり50万円近くに達する(現地の経済からすればとんでもない金額)援助が、おとされました。
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どこの地域のどの台風災害のことか定義されていません。もし「ヤップ島」(ミクロネシア連邦ヤップ州ヤップ島)のことであれば、2004年4月の台風スーダルですね。$3200万が陸地面積100平方キロ、人口7000強の島に落とされ、多くはFEMA利権として米国官僚の間で消え、$800万が「一時見舞い金」として約1300所帯にばら撒かれたのですが、ちょっとでも給与所得がある人には微々たるもので(私も被災者として申請して認められましたが、最後まで手続きしたら、おそらく1ドル以下の小切手がもらえたはずです)、日頃誰かの金にぶら下がってその日暮らしをしている人々に、ドッカーンと大金を振りまいたのです。その金で彼らは、車を買い、アメリカに豪遊し、連日飲めや歌えのパーティー続きで病気になり...人心が大きく乱されました。そこが問題なのです。援助額を単に人口で割っただけでは、問題の核心に迫れません。なお公共施設の補修は現在最終段階にあり、今年の4月でFEMAのプロジェクトは一応終了です。だからひびが入ろうとも使えないカヌーでも建造しているのです。
眠り猫さんwrote:
アメリカ本土のニューオールリンズのハリケーン、カトリーナの被害は、被災後3年がたっても、半分も復興していないのに、なぜ、ミクロネシアには、金を落とすのか?
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カトリーナでも同じ構造です。公共施設の復興には時間がかかります。ヤップのほうが少し早かったですから、いまやっと突貫工事が進んでいるところです。しかしFEMAの問題は米政府官僚と政治家、産業がグルになった利権構造にあります。
眠り猫さんwrote:
そこには、沖縄からの海兵隊グァム移転と同様の意図が隠されているように思います。
つまり、平時は、アメリカ軍は、太平洋方面ではハワイとグァムに兵力を集中させておき、必要な時(戦争のとき)に、そこから、各地へ一気に展開するのです。
そのためにミクロネシアには手厚い金銭援助で、アメリカへの依存度を高めておき、また、沖縄には、海兵隊が移転するにも関わらず、キャンプ・シュワブの新基地や、高江のヘリバッドなど、有事に足掛かりとなる基地の建設が進められているのでしょう。
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現在のアメリカは中国と事を起こすことは想定していないと断言できます。むしろ日本を対中国への防人として日本国内の緊張を高め、中古の使えない武器弾薬をどんどん売り込むのが目的でしょう。
対ミクロネシア(これは旧米信託統治領のミクロネシアの意味です)の援助は、どんどんシビアになっています。ヤップの2004年のFEMAの巨額援助は特異なケースで(その理由は私なりに想像していますが、ここでは書きません)、現実にはどんどん縮小傾向にあるのです。そのアメリカの縮小をカバーする形で、オーストラリアと中国が太平洋諸国の援助に乗り出してきています。日本の影がどんどん薄くなっているのは言わずもがなです。
イスラエルのガザ侵攻が目前と言われています。ガザ侵攻が行われれば中等全面戦争になって、イスラエルの消滅さえ現実的になります。そうなった後の世界のパワーバランスは、今とは全く違った構造になるでしょう。ダイナミックに動く国際情勢から身近な出来事を考えていくことが、今後はますます大事になってくると思います。