日銀総裁人事が空転し、政府自民党の2度目の人事案提出も参議院の承認が得られず、ついに19日の福井総裁の任期切れを迎え、日銀総裁の座は空席状態となりました。
マスコミは、この為替相場や株式が不安定な中で、野党は無責任だと一斉に言うでしょう。
しかし、実際には、日銀総裁人事など無視して、相場は動いており、またそれ以前、福井総裁の下でも為替も株も乱高下していたのではないでしょうか?総裁のいるいないで決まる話では無く、すでに0金利に近い政策金利では、誰がなっても、景気対策は打てないのが現実です。
今回の件で、国民は、日銀総裁人事に、国会の同意が必要と言うことを初めて知ったのでは無いでしょうか?まず、そこが重要です。
そして、福井総裁も、そのあと提示された武藤副総裁も、大蔵官僚(現財務省)出身であり、あの「〇〇しゃぶしゃぶ事件」で、銀行の接待を受けていたと名前が挙がっていた人物です。
今までは、自民党の独裁のもとで、自民党の息がかかった、不正も行ってきた可能性もある、元官僚が、日銀の総裁に臆面もなく就任していたのです。
参院で野党が過半数になって初めて、日銀総裁人事に国会の両院の承認が必要であることがわかり(私も初めて知りました)、野党は、「財政(財務省)と政策金融(日銀)」の分離」、という、至極もっともな意見で、反対を貫いたのです。
この、「財政と政策金融の分離」が、必要だったのに、そうしないで福井総裁が行ってきたことには、今、大きな問題が起きています。
1つは、海外と比べて異常な低金利です。口実はバブル以降の不況を乗り切るためでしたが、政府の発表ではわずかながらも景気は拡大を続けていたはず。ならば、政策金利はもう少し上がっていてもおかしくなかった。このため、国民の預金金利は史上最低の金利になり、銀行などに預けておいても、雀の涙しか利息が付きませんでした。
もう1つは、少し前のことになりますが、コイズミ時代に、日銀を通して、円・ドル為替相場に35兆円もの市場介入をして、円安を誘導していたことです。
これも、輸入食品などの値上げの要因となります。
では、なぜ、福井総裁がこんなことをしたかと言うと、政府と癒着して大企業が儲ける環境を作っただけでした。トヨタやキャノンなどの輸出産業は、異常な円安で為替利益をあげました。これは間接的に、国が35兆円を輸出産業にただでばらまいたのと同じです。
また、低金利は、これらの企業が設備投資などの資金の借り入れをする上での負担を減らしました。
もちろん、大企業だけでなく、中小企業も、特に輸出中心の企業は恩恵を被ったわけですが、国民の生活面では不利なことばかりでした。
ですから、今回、野党が、「財政と金融の分離」という原則を掲げて、財務省官僚出身者の日銀総裁就任を拒み続けたのは、一部の利益にのみ奉仕する、利権腐敗政治の自民党の方針にノーを言っただけで、まことに国民生活のためのものでした。そして、その方針を示しているにもかかわらず、2度目も元大蔵官僚を持ってきた、福田政権の無能(官僚に逆らえない)こそが批判されるべきなのです。
野党が示したしごくもっともな理屈に沿って人事を考えれば、少なくとも2度目で承認が出たでしょう。
空転したのは自民党の責任です。
こういうと、日本経済のためには、景気拡大のためには必要な措置だったと言う人が出るでしょう。
しかし、企業は儲けても、国民生活は悪化の一途。勤労者の収入は9年連続で減少し、企業だけが史上空前の好決算を続けていました。安い金利で日銀から金を借り、高く貸していた銀行なども同じです。
その一方、異常な円安で、輸入品価格は上がっていました。
この春から連続すると言われている食料品などの大幅値上げは、原油高も原因の一つですが、異常な円安も理由の一つでした。ここにきて、円高に振れて、食料品の輸入価格は下がるはずで、その点を注視していかねばなりますまい。
私の視点はあくまでも自分が属する庶民の視点であり、新自由主義がもたらした貧困への反対です。
この意味で、今まで自民党独裁の下で、勝手に決められていた日銀総裁人事に初めて野党が意見を述べる機会を得たことは、政治の点でも、経済の点でも良いことなのです。
翼賛マスコミにだまされないように。今の状態を作ったのは、自民党と財界に媚びてきた日銀の行った、為替介入による円安誘導と、異常な低金利の反動が起きているのです。あとはアメリカ経済の失速と言う日本ではどうしようもないことが原因です。
正直に言って、今の状態自体は、誰がなっても解決できません。しかし、もともと異常な円安誘導したため、今その反動が来ている責任はコイズミと、福井総裁にあり、その点は批判されるべきです。
単に「空席をつくるな」という批判は幼稚です。「財政と金融の分離」を原則として貫いた、民主党と野党は褒められこそすれ、批判される必要はありません。批判されるべきは、2度目の人事案提示でも、元大蔵官僚を示した、自民党福田政権にあるのです。
ここのところ、間違えないように。
(ランキングは撤退しました。今までのご支援に感謝いたします。)



>庶民の視点であり、新自由主義がも
>たらした貧困への反対です。
まさに同感です。しかも、本音では大企業経営者も、GDPの6割(300兆円)をしめる個人消費が増えないと企業としてもマズイことに気付いております。消費者がお金を使うようになるために政府がすることは単純なことです。所得800万円以下の人たちの個人所得税の減税(定率減税の復活)と老後の所得の確約(退職後の一世帯あたりの年金月額30万円、基礎年金の充実と当たり前の銀行金利(3%以上)にして、個人が不安なく必要な消費をできる状態にすれば可能です。
財源?特別会計250兆円を一般会計に組み入れれば解決です。それをやって困るのは、天下りしている中央省庁のOB達と利権をもってる与党政治家だけです(現役官僚は、事務次官になれなかった人間は本省をさらなければならないという慣習をやめさせてあげれば、天下りする必要がないので全く困りません)。
>「財政と金融の分離」
このところを民主党は、もっと分かりやすく説明すべきです。
財務省(政府)は、中央銀行からの最大の借手なのです。借手の元トップが銀行のトップになるなどおかしな話です。分かり易い例をとれば、UFJ銀行からの最大の借手だったダイエーの社長が、UFJ銀行の頭取になるようなものです。そりゃ、いくら出身母体の影響を受けないと言っても、誰も信じないでしょう。
しかも、財務省は2001年からの緊縮財政路線で、政府の財務体質の健全化に大失敗したのです。単純に「純債務÷GDP」の割合がイタリア並みに悪化。経営に失敗した組織の元トップが、貸し手の組織のトップになったら考えることは一つです。借手の失敗が露見しないように、超低金利を続けさせ、インフレをおこすことによって、実質的に借金をチャラにすることです。