「自衛隊派遣恒久法」。
福田首相は、山崎前副総裁に、今国会でこの法律の成立を目指すと言った。しかし、町村官房長官は、議会や国民の動向を見て柔軟に、と述べ、今国会での成立には消極的な発言をした。
当たり前である。
この法律の内容すら明らかになっていない今、そうやすやすと決められては困る。
福田首相は、民主党の小沢代表もこの法律に前向きであるとの感触から、停滞する国会の打開のために、このようなことを言ったものと推測される。
だが、そのような党利党略で考えて良いものではない。
本来、「自衛」のためということで、隊員も参加し、国民の多くも存在を認めつつある自衛隊に、海外任務を恒久化するというのは、まず憲法に違反し(「陸海空の三軍はこれを保有しない」。口で何と言おうと、他国から見れば自衛隊は世界第6位の軍事費をかけた「軍」である。)、自衛を前提とした自衛隊員と国民を裏切るものである。
それは、テロ特措法にも、イラク特措法にも言えることで、現在の特別措置法をいちいち制定するのが面倒だという、政府与党と、国会の怠慢を理由に、「派遣恒久法」を作ると言うのは、いくら無法者ぞろいの自民党でも無茶である。
民主党の小沢代表も前向きというのもおかしい。
この問題を真剣に扱うのなら、憲法を変えてから行うべきだ。そうでないなら、あらゆる海外派兵は憲法違反であり、百歩譲って、アメリカの強圧(アーミテージ・リポート等)によってやむを得ず後方支援のために、海外に自衛隊を送るとしても、それをそのつど判断し、必要と認めた場合にのみ特別措置法で議論するのが政府と国会の役目だ。
この法律は、政府与党と国会議員の怠慢以外の何物でもない。
良く、ブログへのコメントや、ネットの掲示板などで、右派とみられる人物と、海外派兵などについて論ずる(最近は意味がないのでやめているが)。そうすると、彼らは必ず、「自衛隊を派遣すれば良い」と言い放つ。自分が戦場に立つ気はひとかけらも無い者が、自衛隊を海外に派遣しろと叫ぶ。
自衛隊員の多くにとって、これほど腹が立つ話もないだろう。「命令には従うべき」と言った者もいた。しかし、国の最高法規である憲法は、それを認めていない。単なる業務命令を超えている問題なのだ。
私は、同じ日本人である自衛隊員にもまた、国防以外の目的で、海外に送り、場合によっては殺し合いをさせることに、断固反対である。
また、アメリカの「戦争屋ブッシュ」の詭弁に従い、世界中での戦争を、アメリカの「自衛」と勝手に定義し、侵略を正当化するロジックを拡大解釈して、自衛隊の海外活動が既に決まっているかのような政府の姿勢、小沢代表の姿勢には大きな疑問を感じる。
国民の議論が必要と言うなら、まさに声を上げよう。
「アメリカの戦争に加担するな」、「日本人を戦場に送るな」、「国防以外に自衛隊の目的は無い」と。
